3年前に創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。 完投で15勝目を挙げるも
今回は『1972年10月2日号』。定価は100円。
9月11日、ヤクルトアトムズの
松岡弘は、
中日戦(中日)で完投し15勝目を挙げたが、ベンチに引き揚げると、ボロボロ泣き出した。
うれし涙ではない。悔し涙だ。9回二死から4連打で2点を失ったのが悔しくてたまらないという。
「せっかく9回二死までヒット2本で0点に抑えたのに‥‥…、こんなピッチングばかりやっている自分が情けなくて」
実は松岡、この年、7回まで無失点が10試合あったが、うち敗戦が3試合、勝ったが完封勝ちを逃したのが4試合となっていた。
三原脩監督が近付き、「もういいよ、そのへんでやめておけ」と慰めたが、松岡はそのままベンチでしばらく泣き続けた。
三原監督は記者たちに言う。
「これが松岡のいいところです。この涙がある限り、松岡は必ず大成しますよ」
では、またあした。
<次回に続く>
写真=BBM