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日本人メジャーの軌跡

イチローによって知れ渡った“200安打”の価値。達成回数はピート・ローズと並んで最多/日本人メジャーの軌跡

 

イチローと聞いて連想する数字はシーズン200安打である。オリックス在籍時の1994年に210安打。50年に阪神藤村富美男が記録した191安打のシーズン最多記録を抜き、初めて200安打を達成。そこからイチローの年間200安打は当たり前の状況が続いた。

10年連続200安打のタイ記録達成


マリナーズ時代のイチロー


 メジャーに移籍したとき、イチローは毎年の目標を200安打に置いた。元来、数字には興味がなかった。ことに、上下する打率に関心はなかった。ただ、言わばファンサービスのひとつとして、切りがいいこともあって目標にしたのだった。

 メジャーでシーズンの安打数はあまり取り上げられることはなかった。イチローがメジャーに来る前年の2000年、エンゼルスのダリン・アースタッドが安打を量産し、このときに1920年のジョージ・シスラーの257安打が紹介されていた。ただ、大記録というよりトリビアといったおもむきだった。アースタッドは240安打だった。

 イチロー以前には一般的に認知度の低かったシーズン200安打だが、軽視されていたわけではない。01年にデビルレイズ(現レイズ)で打撃コーチを務めていたウェイド・ボッグスに話を聞く機会があった。現役時代に7年連続200安打をマークした人物である。彼は「打率3割よりも200安打を目標にしていた。故障なくシーズンを通じて活躍できた証だからだ。打率3割は出場試合数が少なくても達成できるからね」と話していた。200安打は周囲からの評価の基準ではなく、選手自身の努力目標であったわけだ。それがイチローの出現によって広く知られるようになったのだ。

 メジャー・デビューの01年から10年連続200安打。ウィリー・キーラーの8年連続を書き換えた。達成回数10度もピート・ローズと並んで最多だ。11年は4月こそ39安打で打率.327だったが5月には22安打で.210とメジャー最低の月間打率。184安打、打率.272で終わった。この年は200安打とともに01年から続いていたオールスター出場とゴールドグラブ賞もストップした。

『週刊ベースボール』2021年3月8日号(2月17日発売)より

文=樋口浩一 写真=Getty Images
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