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田中将大抜きでも「3本の矢」が堅調で首位快走…楽天の強さは「本物」か?

 

涌井、岸、則本が好調


過去2年は本調子ではなかったが、今季はここまで好調なピッチングを披露している則本


 楽天の強さは一過性の勢いでなく、本物か。

 今年1月に楽天に電撃復帰して以来、一挙手一投足が注目され、楽天のニュースは田中将大一色だった。名門・ヤンキースで6年連続2ケタ勝利を挙げ、8年ぶりに日本球界復帰した田中の存在は、ほかの投手たちも大きな刺激になった。

「春季キャンプ中は若手たちが田中にアドバイスを求めていましたし、昨季最多勝の涌井秀章岸孝之、復活が期待される則本昂大も刺激を受けている様子でした。特に則本は田中を尊敬して背中を追い続けていただけに期する思いが強いでしょう。優勝する上でのキーマンになると思います」(スポーツ紙の楽天担当)

 則本は新人の2013年から6年連続で2ケタ勝利を記録。14年に田中将がメジャー移籍以降は、名実ともにエースとなり5年連続奪三振王のタイトルを獲得している。球界を代表する右腕とし活躍してきたが、19年3月に右ヒジの手術を受けて以降は投球フォームに試行錯誤して本来の輝きを取り戻せない。19、20年と2年連続で5勝止まりと悔しい結果に終わった。

 田中将、涌井、岸、則本、ドラフト1位左腕・早川隆久と先発陣は豪華な陣容で臨む予定だったが、田中将が開幕直前に、右足のふくらはぎに軽い張りを訴えて3月27日に登録抹消。復帰登板を予定していた同日の日本ハム戦(楽天生命パーク)の登板を回避した。

 田中将の離脱は想定外の事態だったが、「3本の矢」が奮闘している。涌井は開幕投手で白星を飾るなど3試合登板で2勝0敗、防御率1.23。岸も3月30日のロッテ戦(ZOZOマリン)で12球団一番乗りの完封勝利を飾るなど2試合登板で2勝0敗、防御率1.20と抜群の安定感を誇る。そして、キーマンとなる則本も3月31日のロッテ戦(ZOZOマリン)で6回1/3を投げて1失点、4月7日の西武戦(メットライフ)も7回2失点の好投で2勝0敗、防御率2.03と幸先の良い滑り出しを見せている。

 他球団のスコアラーは「今年の則本はいいですね。150キロを超える直球が球速表示以上に速く感じる。昨年は投球フォームに力感がなく、球も来ていない感じだったが今年は力強さを取り戻している。チェンジアップ、スライダーの精度も高いので連打はなかなか厳しい」と警戒を強める。

野球解説者も高い評価


 近年の楽天は春先の好調を維持できず、優勝戦線から脱落していた。19年は6月下旬に貯金を10まで増やしたが、その直後に引き分けを挟んで10連敗を喫するなど大失速。貯金3でシーズンを終えた。昨年も8月中旬に貯金8と首位戦線に出たが、その後は投手陣が安定感を欠き、リーグワーストの32度の逆転負けを喫して借金2の4位に沈んだ。

 野球解説者の野村弘樹氏は週刊ベースボールの順位予想で今年の優勝を楽天と予想。その理由を以下のように語っている。

「今年は楽天でしょう。田中将大と新人の早川隆久。そして今年、則本昂大は絶対にやると思っているんです。この3人で昨年より25勝の上乗せは堅い。そうしたらぶっちぎりで優勝です。120試合だった昨年も涌井秀章が11勝、岸も7勝する力はある。抑えに松井裕樹が回って後ろも安定している。打線はもともと悪くないですから、ソフトバンクの牙城を崩せるのは、このチームしかないです」

 ツボにはまったときは強い。問題はチーム状態が悪いときにいかに踏ん張れるか。長丁場のペナントレースで実績十分の先発陣の活躍が大きなカギを握りそうだ。

写真=BBM
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