週刊ベースボールONLINE

川口和久WEBコラム

日本ハム・栗山英樹監督、今こそ栗山野球の真髄を見せてくれ/川口和久WEBコラム

 

劣勢の中でこそ光る野球を


日本ハム監督最多勝のボードを持つ栗山監督


 4.5ゲーム差内で全球団がひしめき合うパ・リーグ。とにかくどのチームも打てないし、引き分けも増えてきた。
 しばらく混戦模様が続きそうだ。
 ただ、その中でも順位はシビアに出る。最下位にどっかり座っているのが、チーム打率、チーム防御率ともリーグワーストの日本ハムだ。
 開幕から不振が続き、引き分けを挟みつつ7連敗もあった。

 当然、日本ハムの栗山英樹監督をたたく声もある。プロは結果だから、それは仕方ないが、今シーズンは外国人選手の来日遅れもあり、そもそも戦力がほかのチームより落ちている。仕方がない成績とも思う。

 日本ハムという球団はフロントが補強のイニシアチブを取り、栗山監督は与えられた戦力をやり繰りし、栗山マジックを駆使しながら戦ってきた。
 それが最初の5年くらいはうまくかみ合い、2016年、二刀流・大谷翔平で優勝した年は見事なまでにはまった。

 しかし、ここ数年、フロントと現場、要は現有戦力のウイークポイントと補強がうまくかみ合っておらず、俺が大好きなシャウエッセンほど味が出てない。
 戦力がどんどん抜けながらも、有効な穴埋めができず、ドラフト戦略もうまくはまらず、若手が伸び悩み、要は戦力の循環がうまくいっていないというのかな。
 見ていて、栗山野球がどんどん窮屈になっている気がした。

 象徴は4月7日、中田翔がバットをへし折って交代になった件じゃないかな。チームの不振の責任を感じた中田がイライラを爆発させた件だ。
 いや、これ自体がどうこうというわけじゃない。結果的には、ここで栗山監督が毅然として中田を交代させたことでチームが少し引き締まったしね。

 要は、中田に頼る野球は栗山野球じゃないだろう、ということだ。もちろん、四番の中田が打っていればもっと勝っているだろうが、長嶋茂雄さんが監督時代の巨人みたいに四番にこだわったチームづくりをしてきたわけじゃないし、むしろホームランが出にくい札幌ドームを本拠地にし、小粒な選手でつなぎと粘りで勝ってきたのが栗山野球だ。
 それがここに来て、中田云々となるのはどうなんだろう、と思った。

 俺は栗山という監督を高く評価している。
 野球に対する探究心があり、ここぞというときの決断力もある。優秀な監督だと思う。
 本人もそう思っているかもしれないが、もう落ちるところはないと開き直り、打順を入れ替え、メンバーを入れ替え、栗山監督は、自分の信じる「原点の野球」をやってみてもいいんじゃないかな。

 4月14日、1対2での敗戦のあと、栗山監督はこう言っていた。
「打たなくても勝たなくちゃいけない。それだけなので」
 逆襲に期待したい。
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング