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“扇の要”が機能しているのはどこ? セ・リーグ6球団「キャッチャー事情」

 

「優勝チームに名捕手あり」と言ったのは名捕手であり、名監督でもあった野村克也氏だ。果たして、ここまでセ・リーグ6球団の“扇の要”の働きぶりはいかに。各球団の捕手事情を見ていく。
記録は4月16日現在

阪神タイガース



 やはり3年連続ゴールデン・グラブ賞の男がどっしりと構えているとチームは安定した戦いができる。首位を行く阪神で昨季はスタメンを外されることもあったが、今季は18試合終了時点で全試合にスタメン出場しているのが梅野隆太郎だ。同時点で失策は1と守備力が安定している。ただ“梅ちゃんバズーカ”と呼ばれる強肩を誇るが、盗塁阻止率は1割台(.167)とまだ本領発揮とはいっていない。しかし、それ以上に打撃でチームの首位に貢献しているのが心強い。七番打者として、状況を見ながら進塁打で確実に走者を進めたと思えば、得点圏打率.583と勝負強さも発揮。まさに攻守の要として阪神に欠かせない存在になっている。

読売ジャイアンツ



 原辰徳監督が復帰した2019年は炭谷銀仁朗小林誠司、大城卓三の3捕手併用制で5年ぶりにリーグを制した。この年は小林の先発マスクが多かったが、翌20年は開幕シリーズでその小林が骨折離脱したこともあり、大城がメーンで炭谷が補佐役に回った。結果、チームはリーグを連覇し、大城はベストナイン捕手に選ばれている。今季は開幕から19試合中16試合で大城が先発マスクをかぶり、3試合で炭谷。その3試合も大城は一塁で先発しており、新型コロナウイルスの陽性判定により入院した、中島宏之、Z.ウィーラーら一塁手不在による攻撃面でのマイナスを補う用兵の1つだった考えることができる。その後、大城は捕手に復帰。今後も大城固定でシーズンを戦うことになりそうだ。

東京ヤクルトスワローズ



 西田明央がPCR検査で新型コロナウイルス陽性判定を受けたこともあり、中村悠平が奮闘している。西田の濃厚接触者とされた青木宣親内川聖一らも登録抹消され、打線は大幅入れ替えを余儀なくされた。この間に二番打者として起用された中村は、18試合終了時点で打率.296と見事に期待に応えている。15日のDeNA戦(神宮)では、初回に先制ソロを放って勝利に大きく貢献。春季キャンプで、チームのレジェンドOB・古田敦也氏に守備、打撃の手ほどきを受けたことが、良い刺激になったようだ。攻守でチームを牽引する存在である。

広島東洋カープ



 開幕から18試合終了時点までは広島のスタメン捕手は先発投手によって使い分けられており、九里亜蓮森下暢仁の先発時には坂倉将吾、それ以外の投手の先発時は會澤翼が先発マスクをかぶる。磯村嘉孝と、石原貴規との入れ替えで一軍に上がった中村奨成がバックアップを務める4人体制だ。4人体制の採用は、坂倉や、場合によっては磯村も、ファーストに入る可能性があり、中村奨も外野手との兼任が考えられるため。攻撃面では、坂倉は主に五番、會澤も最近は六番起用が増えてきており、坂倉が打率.296、會澤も.313と、「打てる捕手陣」の看板通りの好成績だ。坂倉はファーストでの先発出場も増えており、チームのキーマンになっている。

中日ドラゴンズ



 開幕から18試合終了時点までマスクをかぶり続けているのは木下拓哉だ。プロ6年目の29歳が、いまやチームの正捕手と言っていいだろう。投手陣を巧みにリードし、打力も高い。長く正捕手を務めた谷繁元信が兼任監督になって以降、その後釜はチームに重くのしかかっていた大きな課題だったが、昨年後半から木下が抜け出し、併用から固定になった。ただ本人は「まだ自分が正捕手だとは思っていません」と気を引き締める。2年目の郡司裕也、強肩の加藤匠馬、成長著しい石橋康太、またアリエル・マルティネスなどライバルは多い。その座を確実なものにするためには、今年が勝負となる。

横浜DeNAベイスターズ



 戸柱恭孝、嶺井博希山本祐大が日替わりでマスクをかぶるが、捕手が今季のベイスターズのウィークポイントの一つになっている。打線で八番に座る3人の打率は、19試合終了時点で戸柱.135、嶺井.211、山本.083とそろって低調で、これではバットで投手を助けることはできない。さらに守備では相手に走られまくっているのも問題点。先週の阪神戦(横浜)では1イニング4盗塁をはじめ、3連戦で7盗塁を許して主導権を握られた。投手のクイックにも問題があったとはいえ、12球団ワーストの15許盗塁は捕手の力不足もあるだろう。伊藤光は開幕一軍メンバーから漏れ、その後ファームで故障し、現在は調整中。厳しい状況は続きそうだ……。

写真=BBM
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