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“Y校復活の象徴”144キロ右腕・山口塁。「リベンジしたい」東海大相模との再戦に燃やす闘志

 

昨秋に続く8強進出


横浜商高の144キロ右腕エース・山口塁(3年)は横浜隼人高との4回戦(4月18日)で1失点完投勝利。ベスト8進出を決めた


 春季神奈川県大会は雨天順延による4回戦1試合(向上高−横須賀学院高、4月20日)を残し、ベスト8進出の7校が決まった。

 4回戦進出の16校のうち、公立勢は2校(相模原弥栄高、横浜商高)だった。横浜商高は横浜隼人高との4回戦(4月18日)を制して(4対1)、唯一の準々決勝へ駒を進めている。

 マリンブルーのユニフォームに左胸には、伝統の「Y」。昨秋に続く8強進出の立役者となったのは144キロ右腕・山口塁(3年)だ。

 前日の17日、慶應義塾高との3回戦では161球を投げ、3失点完投(7対3)。連投となった4回戦だったが、114球と球数を抑えて1失点完投勝利。4安打、1四球と相手に付け入るスキをほぼ与えない安定した投球だった。

 横浜隼人高・水谷哲也監督はこう振り返る。

「研究はしてきましたが、場面に応じてギアを上げてきた。連投でしたが、逆に力が抜けていたのが良かったのではないでしょうか」

 山口はストレートを軸に、カーブ、スライダーをコーナーへ丁寧に集める。何より、マウンドで動じることがない。なぜ、ここまで堂々としているのか? 中学時代に在籍した強豪・中本牧シニアではジャイアンツカップ8強を経験した実力者だ。大舞台に慣れている。

 2年夏、神奈川県高野連主催の独自大会では背番号11の主戦投手として5回戦進出。背番号1は1学年上の左腕・笹川吉康(現ソフトバンク)が着けていた。エース番号を引き継いだ昨秋は、湘南高との1回戦で完封すると、法政二高との2回戦でも8回1失点、日大藤沢との3回戦でも3失点完投勝利と8強へ導いた。しかし、東海大相模高との準々決勝では一人で投げ切るも、6失点で無念の敗退(0対6)を喫している。

「組み合わせを見たときから、リベンジしたいと思っていました」

 準々決勝(4月24日、保土ヶ谷)で東海大相模高との再戦が控える。強打を誇るセンバツ優勝校に対して、冬場の練習の成果を発揮する機会が訪れたのだ。冬場は練習前後に補食を積極的にとり、体重は4キロ増の79キロ。179センチ右腕は下半身強化により、キレのあるボールが投げられるようになった。

 横浜商高は地元から「Y校」として親しまれる、横浜市立の伝統校だ。戦前に春5回、夏2回の全国大会出場経験があり、1983年には春夏連続甲子園準優勝。しかし、夏の甲子園は1990年を最後に遠ざかり(センバツは1997年春が最後)、山口に古豪復活の期待がかかる。今夏を良い形で迎えるためにも、この春、さらに存在感を示していきたいところだ。

文=岡本朋祐 写真=福地和男
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