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現実味を帯びる広島・栗林良吏の新人セーブ王。過去にその偉業を成し遂げたルーキーは?

 

新人ながら広島のクローザーを務める栗林


 今季は阪神佐藤輝明DeNA牧秀悟など、入団1年目ながら活躍している選手が多くいる。その中で注目が集まっているのが広島のドラフト1位・栗林良吏だ。1年目ながら抑えを任された栗林は4月20日現在、リーグトップタイの6セーブをマーク。まだ気が早いが、1年目でのセーブ王も期待できる活躍を見せている。では、過去にプロ1年目でセーブ王となった選手はいるのだろうか?

「最多セーブ投手」では1年目受賞者はなし


90年、最優秀救援投手に輝いた中日・与田(左。右は西武鹿取義隆


 現在の投手タイトルである「最多セーブ投手」は、シーズンを通して最も多くセーブを記録した選手に贈られる賞だ。1974年に表彰が始まったが、セ・リーグでは1976年、パ・リーグでは1977年からSP(セーブポイント:セーブ数と救援勝利数を合計した数字)が最も多い投手を対象とした「最優秀救援投手」に変更。2005年に再びセーブ数のみを対象とする形に戻された。

 1976年から2004年まで続いた「最優秀救援投手」では、現在中日の監督を務める与田剛が、1990年に入団1年目でタイトルを獲得している。この年、星野仙一監督から抑えに指名された与田は、豪速球を武器にセーブを量産。当時の新人最多記録となる31セーブを挙げ、35SPでタイトルに輝いた。

 また、2004年にはダイエーの三瀬幸司が1年目で最優秀救援投手のタイトルを受賞している。社会人野球を経て28歳でプロ入りと遅咲きのルーキーだったが、抑えに抜擢されると日本ハム横山道哉と並ぶ32SPを記録してタイトルを獲得した。同時に新人王にも選出されており、28歳の新人王はパ・リーグ最年長記録だ。

 1年目で最優秀救援投手となった選手は2人いる。しかし、現行の「最多セーブ投手」のタイトルを1年目に受賞した選手は、これまでひとりも出ていない。

1年目で抑えに抜擢されたルーキー


1年目の15年、リーグ3位の37セーブを挙げたDeNA・山崎


「1年目での最多セーブ投手」という史上初の快挙に最も迫ったのが、DeNAの山崎康晃だ。オープン戦で先発投手としては力不足だと判断された山崎は、中継ぎで好投したことや、この年の抑えに決まっていた三上朋也が離脱したこともあり、1年目ながら抑え投手に抜擢。開幕後も期待に応えるようにセーブを積み重ね、最終的に2勝4敗37セーブ(与田の新人記録を25年ぶりに更新)と好投した。41セーブを記録したトニー・バーネット(ヤクルト)と呉昇桓(阪神)には及ばずタイトルは獲得できなかったが、新人としては驚異的な成績を残した。

 また、山崎の前にDeNAの抑えを任されていた三上も、1年目ながら抑え投手として活躍した選手。14年、開幕一軍を勝ち取った三上は、それまで抑えだったホルヘ・ソーサが不振に陥ったことで急きょ抑えに起用される。抑え投手を務めるのはこれまでのキャリアの中で初だったが、最終的に新人では歴代5番目(当時)となる21セーブをマーク。残念ながら翌年は負傷で離脱するが、それがきっかけで山崎が台頭することになった。

 現在は楽天に所属する牧田和久も、西武時代は1年目に抑えとして活躍した選手。シーズン序盤は先発で起用され、新人最初の勝利とつかむも、その後は停滞。リリーフ陣が不調だったこともあり、抑えで起用されることになった。この配置転換は大当たりで、牧田はこの年22セーブをマーク。最多セーブのタイトルには届かなかったが、新人王にも選出されている。

 これまでにプロ1年目で抑えに抜擢され、目覚ましい活躍を見せた選手はいるものの、いずれも「最多セーブ」のタイトル獲得には至っていない。果たして広島の栗林は、新人では初の「セーブ王」になれるのか、今後のピッチングに注目だ。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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