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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

活躍は必然? ヤクルト・山崎晃大朗、影の努力

 

4月22日の広島戦で、勝ち越しの適時打を放った山崎晃大朗


 知り合いのヤクルト番記者から連絡が来たのは、昨年の11月だった。「山崎が、週刊ベースボールを1冊欲しいって言ってるんです。連続写真が載っているもの。渡してあげてくれませんか」。昨年の週刊ベースボール11月23日号の連載『連続写真に見るプロのテクニック』で、山崎晃大朗を取り上げた(解説は柴原洋さんだった)。連絡をもらったのは発売から1週間ほど経ったころだったから、もう書店などの店頭には並んでいない。新型コロナの影響もあって直接渡すことはできないから、1冊、山崎宛に送った。

 『週ベ』ヤクルト担当編集の私と山崎は、実は日大の同級生だ。とはいえ学部が違ったので学生時代の関わりは一切なく、今もあいさつ程度なのだが。ただ共通の知人は何人かおり、そのうちの一人である野球部の同級生が話していたことを、4月22日の広島戦(マツダ広島)で勝ち越しの2点適時三塁打を放った山崎を見て思い出した。
「アイツ、みんなで飯食おうって集まっても、絶対20時には帰るんだよ。練習するからって。顔出すだけ。酒も飲まないで、金だけ置いてく」
 まだプロ入り2年目くらいに聞いた話だったと思う。当時の山崎は一軍の試合に出ることはあっても、その立場は確実なものではない。同級生が社会人として、ある程度まとまったお金を稼ぐようになって遊んでいても、山崎は自分に厳しく、ひたすら野球と向き合っていたのだ。

 そうして、山崎は昨年109試合に出場し、ほぼキャリアハイの成績を残した。それでも慢心することなく、シーズンが終わった11月、さらなる成長のヒントを求めて『週ベ』の連続写真を欲しがった。今季は、クサイ球はしぶとく粘り強くカットし、甘いボールは鋭く弾き返して、一番打者としての役割を全うしている。青木宣親がコロナの影響で、坂口智隆が故障で出場できないチーム状況を、山崎は「僕にとってはチャンス」と話したが、この絶好の機会を逃さずに結果を出し、起用され続けているのは、これまでの惜しみない努力があったからだろう。

“練習は裏切らない”、“努力は必ず報われる”……。山崎を見ていたら、こんな言葉が浮かんできた。

文=依田真衣子 写真=BBM
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