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日本人メジャーの軌跡

わずか約3カ月のメジャー生活。その後は波乱万丈の人生を送った野村貴仁/日本人メジャーの軌跡

 

2002年にメジャー・デビューを果たしたのはブリュワーズ・野村貴仁、メッツ・小宮山悟、ドジャース・石井一久、カージナルス・田口壮の4人。このなかで一番早かったのは4月3日のアストロズ戦で初登板した野村であった。オリックス巨人で合わせて実働10年。170センチと小柄ながら150キロの速球を武器にした救援左腕だ。01年オフに巨人を退団。02年1月末にブリュワーズと契約した。

初登板は三者凡退も……


ブリュワーズ時代の野村貴仁


 ブリュワーズと言えば1985年、36歳の江夏豊がスプリングトレーニングに参加してメジャーを目指したチームだ。また、野茂英雄が99年4月末に入団。12勝8敗と復活を遂げた。野村入団の前年の01年にはマック鈴木(鈴木誠)が在籍している。

 話を野村に戻すと、スプリングトレーニングで結果を残して開幕ベンチ入り。メジャー初登板は開幕2戦目だった。敵地のアストロズ戦。2対15と大きくリードされた8回裏にマウンドへ登り、二者三振で二死とし、後に殿堂入りするクレイグ・ビジオを遊ゴロに仕留めて三者凡退で終えた。

 ところが2試合目の登板となった4月6日、地元のダイヤモンドバックス戦でメジャーの洗礼を受けた。1対3の7回表、3番手で登板し、先頭のスティーブ・フィンリーを歩かせた後、ジュニア・スパイビーとクレイグ・カウンセルに連続適時二塁打を浴び、さらに投手のランディ・ジョンソンに右犠飛を許して3点を失った。

 結局5月15日のレッズ戦を最後にマイナーに降格し、再昇格することなくオフに解雇された。メジャーでの成績は救援のみで21試合に登板し、0勝0敗、防御率8.56だった。その後03年に日本ハム、04年には台湾でプレーして現役を引退した。

 その後のほうが世間を騒がせることになった。06年10月末に覚醒剤取締法違反の疑いで逮捕され、同年12月に懲役、執行猶予3年の有罪判決を受けた。

 まさに山あり谷あり、波乱の半生を歩んできた。現在は立ち直って故郷の高知で農業に勤しんでいるという。

『週刊ベースボール』2021年3月29日号(3月17日発売)より

文=樋口浩一 写真=Getty Images
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