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育成功労賞の表彰を受けた横浜商大高・金沢哲男元監督が指導者冥利に尽きた出来事とは?

 

春夏合わせて3度の甲子園出場


横浜商大高の監督として32年率いた金沢哲男氏が5月4日、横浜スタジアムで育成功労賞の表彰を受けた。昨年受賞したが、新型コロナウイルスの影響で、このタイミングになった


 春の神奈川県大会決勝前(5月4日、東海大相模高−桐光学園高)。試合会場の横浜スタジアムは、静寂に包まれた。

 昨年、育成功労賞を受賞した金沢哲男氏(横浜商大高元監督)の表彰式が行われた。例年は夏の県大会開会式がセレモニーの場となるが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、昨夏の神奈川大会は中止。有観客試合(上限5000人)となったこの日、晴天の中で、最高のステージが用意されたのである。

「10カ月遅れですが、県高野連の方々のご配慮で機会をつくっていただき、感謝しております。監督在任32年は牛上(義明)先生、松江(光彦)先生の2人の部長が私を支えてくれました。もちろん、家族もそうですが、ありがたい気持ちでいっぱいです」

 金沢氏は1958年生まれ。鎌倉学園高、早大を卒業後は東芝でプレーし82年の都市対抗優勝に貢献した。83年に横浜商大高の監督に就任すると、89年春、93年夏、2003年夏の甲子園出場。15年夏限りで勇退。教え子には田澤純一(元レッドソックスほか)らがいる。その後、野球部長を半年間、18年4月から今年3月まで同部顧問を務めた。定年となった4月以降は再任用で、生活指導部長と世界史の教諭として週12コマ、教壇に立っている。

 32年の思い出は尽きない。

「つい最近、監督になって、終わったな、と。32年の月日は早かったです」

 今年正月の箱根駅伝でうれしいシーンがあった。先導の白バイを教え子が担当していたのだ。

「牛上元部長は『人生に補欠はないよ!』と指導されていました。ウチの学校は部員が多いんですが、彼はレギュラーどころか、ベンチにも入ることができませんでした。高校3年間は日の目を見なくても、地道に努力を続け、社会に出てから胸を張って頑張っている姿を見て、感激しました。指導者冥利に尽きる出来事でありました」

 昨春の中止を経て、コロナ禍で2年ぶりに開催された春季県大会。1回戦から決勝まで全81試合を無事に完走した。金沢氏は現場の高校球児に対して、メッセージを送った。

「この春はお客さんを入れていましたが、選手、指導者は感謝の思いを忘れないでいただきたいです。制約のあることを、言い訳にしないでほしい。やれることはある。窮屈な環境で、どうこなしていけるか? 与えられた環境でベストを尽くしてほしいと思います」

 かつて何度も指揮を執った横浜スタジアムに立ち、金沢氏は感無量の面持ちであった。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎

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