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「一つの山を乗り越えられた」6季連続神奈川を制した東海大相模にあった2つのテーマとは?

 

負けない野球を展開


今春のセンバツ甲子園を制した東海大相模高が、春季神奈川県大会で優勝を遂げた。2019年春から6季連続制覇と県内無敵である。門馬監督は試合後、イスに座って取材に応じた


 名将がベンチへ戻ってきた。

 東海大相模高・門馬敬治監督は5月2日の練習中、ノックの送球が首に当たり、入院。3日の準決勝(対日大藤沢高)は横浜スタジアムに現れず、指揮を執ることができなかった。

 監督不在の中でもチームは動揺することなく、モットーである「アグレッシブベースボール」を実践し、14対5で決勝進出を決めた。

 桐光学園高との決勝、門馬監督は一塁ベンチで選手を鼓舞。攻撃中は身を乗り出して指示を出したが、守備中は責任教師の長谷川将也部長がサポート。手に汗握る1点差ゲームを制して(4対3)、19年春、夏、秋、20年夏、秋に続く6季連続優勝を遂げた。

 閉会式後の取材はイスに座って応じた。動きから見てもまだ、痛みは残っているようだ。

「一つの山を乗り越えられた」

 今春のセンバツでは10年ぶり3度目の優勝。県大会は3回戦からの登場だったが、準備期間は参加82校の中でも最もタフであったことは確か。しかし、負けない野球を展開した。

 この春、2つのテーマがあった。

 1つ目は「闘争心」である。

「相手が向かってくるのは分かっている。それを上回る気迫が必要である、と。攻めて粘れた。良い経験ができていると思います」

 桐光学園高とはセンバツ前、大阪入りする直前の練習試合で「完膚なきまでに、打ちのめされた」(門馬監督)と大敗(2対14)を喫した。「そのときの思いがあるので、チャレンジャーでいけた」と、意義のある白星だった。

エースは今大会14球のみ


 2つ目のテーマは「石田を使わない」。

 146キロ左腕エース・石田隼都は今春のセンバツで全5試合に登板して、先発した2試合は完封。救援3試合を含めて、29回1/3無失点と圧巻の投球を披露した。しかし、激戦区である夏の神奈川はエース一人では勝ち上がれない。センバツで石川永稀(3年)、求航太郎(2年)の右腕2人が活躍したが、門馬監督はさらなる「一本立ち」を求めていた。

 石田が今春の県大会でマウンドに上がったのは、平塚学園高との初戦(3回戦)のみだった。8対8の9回裏二死一塁から4番手として救援すると、味方が10回表に勝ち越し。その裏も抑えて、9対8の辛勝。センバツ帰りの難しい初戦の最後を、エースが締めたのだ。

 4回戦以降、石田はブルペンに入ることはあったが、決勝までの4試合、登板機会はなかった。桐光学園高との決勝も、1点をリードした9回表無死二塁。ここで門馬監督は「あえて石川を行かせた」と、3番手・求からスイッチ。1本も許されない場面で、後続を封じて逃げ切った。横浜スタジアムでスリリングな場面を経験できたのは財産である。結局、石田は1回1/3、14球で今大会を終えた。

王者に見当たらないスキ


 攻撃陣はセンバツで急性胃腸炎により、準々決勝以降を欠場した前主将・大塚瑠晏(3年)が県大会準々決勝から先発復帰。日大藤沢高との準決勝で今大会初安打を放ち、決勝では右越え適時三塁打と復調してきたのは心強い。

 今大会はセンバツで大塚に代わり主将代行を務めた門馬功(3年、門馬監督の次男)が主将を務め、5月15日に開幕する関東大会(山梨開催)でも同じ布陣で行く模様である。だが、夏へ向けては「高校野球に型はない。ダブルキャプテンも良いのでは……」と、門馬監督は大塚のリーダーシップにも期待を寄せる。一人に頼るのではなく、全員で支え合う、より強固な集団となっている。

 門馬監督は言う。

「私はいつもコーチ、スタッフに助けられてきました。選手の踏ん張りで、結果を残してきた。夏は自分を含めて誰一人欠けることなく、勝利にこだわっていきたいです」

 1点差で惜敗した桐光学園高の主将・内囿光人(3年)は「1球の球際、仕留める能力、勝負強さ。1点差は大きかったです。その差を夏までに埋めていきたい」と語った。

 東海大相模高に現状、スキは見当たらない。タテジマの白ユニフォーム(春、秋の県大会仕様)から、伝統の相模ブルーのタテジマユニフォームで戦う今夏も、優勝争いの中心であることは間違いない。激戦区・神奈川を勝ち上がった上で、同校の悲願である甲子園春夏連覇という最大の目標がある。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎

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