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高校野球リポート

トラブルなく終えたコロナ禍の県大会。「ワンチーム」で乗り切った神奈川高野連

 

初の前売りチケットを導入


春季神奈川県大会決勝は、東海大相模高が桐光学園高を下して優勝(5月4日)。4回戦以降は有観客試合となり、準々決勝、準決勝、決勝は初の前売りチケット(指定席)が導入された。横浜スタジアム(写真)は上限5000人での開催であった


 神奈川県大会準決勝で敗退した就任2年目の横浜高・村田浩明監督は試合後「コロナ禍の状況にもかかわらず、県高野連の先生のご尽力により、思い切り野球ができる環境を提供していただいたことは、感謝しかないです」と、大会運営に携わる関係者へ頭を下げた。

 昨年は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、春季神奈川県大会は中止となった。今年は6地区の地区予選から、県大会全81試合を完走。神奈川県では4月20日から5月11日まで「まん延防止等重点措置期間」が適用。4回戦以降は有観客試合であったが、感染予防対策を徹底する中で、決勝までの全日程を消化することができた。

 今年4月、神奈川県高野連の専務理事に就任した榊原秀樹氏(県高野連前常務理事、横浜隼人高前部長)はコロナ禍での大会を終え「トラブルなく、何事もなく終えて、良かったです。一安心です」と胸をなで下ろした。

 昨年は県高野連主催の夏の独自大会、秋の県大会とも無観客試合だった。「特に、今年2年生になる保護者の方は、子どもたちの試合をほとんど見られていない。何とかしたいと、協議してきました」(榊原専務理事)。県高野連では議論を重ね、地区予選から観戦できる方法を模索。応援責任者の先生が100人以内の家族を引率し、入場時には検温確認表を大会本部へ提出。ガイドラインに沿った感染予防対策を徹底し、大会役員が伴って入場した。会場到着時間は「試合開始1時間前」に設定され、密にならない形が取られた。

 神奈川の高校野球熱は、全国屈指である。有観客試合となった4回戦は当日販売だったが、準々決勝以降はインターネットによる前売り販売が初めて導入。保土ヶ谷球場は上限2000人、横浜スタジアムは上限5000人で、入場時の密を回避するために指定席券が販売された。

 観戦者は「来場者カード」を事前に記入し、入場時は検温し、チケットは2週間保管。スタンドでは拍手のみの応援で、大騒ぎする観衆もおらず、試合は整然と進行していった。

「ご理解をいただき、大きな混乱もなく、手応えを感じるものでありました。夏に向けても、感染状況を注視しながら、粛々と準備を進めていく形となります」(榊原専務理事)

加盟校の先生の情熱


 榊原氏は3月末までは常務理事として、栗原豊樹前専務理事を支えてきた。今春は、現場トップとして初めて迎える県大会であった。

「渉外的なことは私がやりますが、(大会の)実働部隊はすべて、役員の先生方(県高野連理事)が主体的に動いてくれるので、ありがたい。良い形で運営できていると思います」

 高校野球は神奈川に限らず、加盟校の先生の情熱なくして、成り立たない組織だ。コロナ禍で有観客試合というイレギュラーな大会も、まさしく「ワンチーム」で乗り切った。

 夏の県大会の抽選会は6月5日、開幕は7月10日。今夏は東京五輪開催に伴い、メーン会場の横浜スタジアムは使用できない(保土ヶ谷球場で開催予定)。今後、協議すべきことは山積しているというが、高校球児のため、いまできることを実現化していくだけだ。そして、選手たちは当たり前ではない現実に「感謝」を込めて、グラウンドへ立つのである。

文=岡本朋祐 写真=田中慎一郎

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