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背番号物語

【背番号物語】巨人「#55」松井秀喜の象徴。過去には「50番台は補欠の番号」と語った若武者も

 

“ゴジラ”の代名詞


松井の背中には「55」がよく似合った


 巨人に限らず、「55」という背番号で多くのファンが真っ先に思い浮かべるのは“ゴジラ”松井秀喜の存在だろう。ドラフトでは4球団が競合、復帰したばかりの長嶋茂雄監督が当たりクジを引き当て、1993年に入団。このとき与えられたのが「55」で、巨人の大先輩であり、同じ左打者、現役時代の長嶋監督と“ON砲”を形成して通算868本塁打を残した王貞治が保持していた当時のプロ野球記録、シーズン55本塁打にちなんだともいわれる。

 松井は2年目の94年から巨人ラストイヤーとなる2002年まで全試合に出場し続け、首位打者1度、本塁打王と打点王は3度ずつ。FAで03年にヤンキースへ移籍しても「55」を背負い、メジャー4球団を渡り歩いて12年いっぱいでバットを置いた。最後のレイズだけは「35」だったが、19年間「55」を背負い続けた。

 なお、21世紀に入って広島嶋重宣が“赤ゴジラ”、オリックスで現役のT-岡田が“浪速のゴジラ”と呼ばれるなど、「55」を着ける左の強打者が“〜ゴジラ”と呼ばれる現象も発生。その後も西武では1年目から「55」を着けた秋山翔吾が日本を代表するヒットメーカーに成長して松井と同様にメジャーへ移籍、広島ではベテランの松山竜平が自身3番目の背番号として「55」を着けるなど、左の強打者を量産する傾向は変わらず。松井の象徴として日米で輝いた「55」は、後進の活躍で栄光の背番号としての地位を確立した。

背番号「55」で頭角を現した吉村


 一方で、昭和の時代を知るファンの中には、吉村禎章の存在が記憶に刻まれているという向きもいるかもしれない。吉村といえば、88年に左ヒザじん帯を断裂する重傷を負い、選手生命を危ぶまれながらも、手術と必死のリハビリを経て奇跡的な復活を遂げた姿のインパクトも強いが、着けた期間は3年だけながらも、「55」の若武者として頭角を現したときの吉村もインパクトでは負けていない。

 ドラフト3位で82年に入団、翌83年に84試合の出場ながら打率.326の安定感を発揮して、この83年は「50」で左打者の駒田徳広、「54」で右腕の槙原寛己ら若手の活躍も目立ち、“50番トリオ”として吉村も大ブレークを果たした。これで注目を集めるようになった「55」だが、まだ当時は打線の主力は1ケタの背番号という傾向が強い時代。「55」の地位も高いとはいえず、若き吉村も「50番台は補欠の番号。いつか1ケタの番号に」と語っていた。吉村は翌84年も規定打席には届かなかったが、打率.342と結果を残して「7」に。松井の印象が強い若いファンは意外だろうが、巨人の「55」は着けた選手に喜ばれない背番号だったのだ。

「55」の屈辱


 巨人の「55」が歴史に登場したのは2リーグ制4年目の53年で、初代は「21」でも紹介した久保木清のラストイヤー。ただ、久保木もプロ時代よりも戦中に慶大で“最後の早慶戦”に出場したときがハイライトで、その後「55」は山田幸造、古賀寅男、野口元三、篠崎四郎、小平誠次らが数年ずつでリレーするも、結果を残すことはできなかった。そんな「55」を72年に継承したのが淡口憲治だ。ただ、新人で与えられたのではなく、2年目に「35」を剥奪されたことによるもので、「いつか奪回する」と猛練習に励み、2年で悲願を果たした。松井の最後を飾った「35」にこだわった淡口が、「55」の系譜に左打者が並ぶ先駆けだったのだ。

松井の「55」を継承した大田だったが、結果を残すことはできなかった


 ただ、淡口が去った「55」に追い風が吹くことはなく、74年から79年は外野手の迫丸金次郎(公勝)、81年は内野手の上野敬三、吉村を挟んで86年から91年は外野手の杉浦守が着けるも、一軍を経験したのは迫丸のみ。92年は助っ人のケアリーが着けて3勝1セーブも、1年で退団した。これで空席となった「55」を背負ったのが松井だ。松井のメジャー移籍で2003年からは欠番に。09年にドラフト1位で入団した大田泰示が継承するも伸び悩み、13年オフに“返上”して「44」に変更。だが、大田が本領を発揮するようになったのは現在の日本ハムへ移籍した17年からと、巨人にとっては皮肉な結果となっている。

 その13年に松井が長嶋監督とともに国民栄誉賞を贈られると、翌14年から巨人の「55」は欠番のままだ。

【巨人】主な背番号55の選手
久保木清(1953)
淡口憲治(1972〜73)
吉村禎章(1982〜85)
松井秀喜(1993〜2002)
大田泰示(2009〜13)

文=犬企画マンホール 写真=BBM

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週刊ベースボール編集部

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