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【パ・リーグ】「二番打者事情」徹底チェック! 監督の野球観が表れる!?

 

つなぎやバントのイメージが強かった「二番打者像」が、近年大きく変わりつつある。二番に強打者を置く布陣もスタンダードになり、打線の組み方にも影響を与えている。2021年シーズンも開幕から1カ月以上が過ぎたが、果たして、パ・リーグ6球団の二番打者の現状は?
記録は5月7日現在

福岡ソフトバンクホークス



 開幕カード、二番に座った今宮健太の活躍もあって、今季は一・二番コンビが攻撃のカギを握り、チームを勢いづけるかに思われた。しかし、2カード目以降、一番・周東佑京とともになかなか状態を上げられずにいると、工藤公康監督は今宮を九番にし、三番以降の打順を1つずつ繰り上げることに。結果として二番・柳田悠岐が誕生、現在ではベーシックオーダーになっている。その柳田も徐々に調子を上げてきてはいるものの、日によって波があるのも事実。本塁打はもちろん、打率3割超えのY.グラシアル栗原陵矢につなげる打撃でチーム得点力をアップさせていきたい。

東北楽天ゴールデンイーグルス



 ここまでは一番・辰己涼介、二番・小深田大翔の並びが最も多いが、小深田が打率2割台前半と調子が上がらないため、4月下旬からは昨年同様、鈴木大地が二番に定着している。4月には一時、打率が1割台に低迷することもあったが、試合を重ねるたびに調子は上向きに。特にチャンスでの勝負強さは抜群だ。5月5日のソフトバンク戦(PayPayドーム)で満塁の好機で走者一掃の適時二塁打を放つなど、満塁の場面では11打数5安打、打率.455、13打点と圧倒的な数字をマークしている。石井一久GM兼任監督は打順を組み替えながら、最善策を模索している。

千葉ロッテマリーンズ



 開幕3戦目からL.マーティンで固定。昨季も二番に座った助っ人だが、今季も攻撃型・二番として機能。一番・荻野貴司の好調もあるが、果敢な打撃で一気に好機を広げ、ときに長打で打点を稼ぐ。何より本塁打はリーグトップの10だ。勝負を避ければ、好調を維持する三番・中村奨吾、勝負強さが光る四番・安田尚憲へ。彼らクリーンアップも打点を荒稼ぎしているのは、攻撃型・二番も一役買っている。強打だけではなく、セーフティーバントを試みるなど、ときに意表を突くのも魅力の背番号79。おなじみのセリフ「Yes! マーティン」が聞けるほど、打線の好調は続くはずだ。

埼玉西武ライオンズ



 今季もほぼ源田壮亮が二番を務めている。基本的に一、二番にはチャンスメークを望み、スピード感あふれる選手を置く辻発彦監督。盗塁の技術に長け、打っても状況によって盗塁のアシスト、犠打、進塁打、または強攻でチャンス拡大と何でもできる源田は辻ライオンズの二番にうってつけの存在だ。プロ入りから4年間、すべて打率2割7分台に終わり、今季は打力アップを目標に掲げるが、ここまで打率.275。さらに打率向上も狙っていきたい。なお源田のほかに今季、二番を務めたのは西川愛也(1試合)、スパンジェンバーグ(3試合)。源田は前者では三番、後者では一番に座った。

オリックス・バファローズ



 二番に限ったことではないが流動的だ。9人を起用し、最多は11試合の佐野皓大だが、最近では吉田正尚が座ることも多い。二番での出場時の打率は.400とハイアベレージを残し、チャンスメーク。昨季の首位打者は、現在リーグ2位の7本塁打と長打力も併せ持ち、うち4本塁打は二番出場でのもの。攻撃型・二番を組めるのは、杉本裕太郎、モヤ、ロメロらがクリーンアップに座っているからこそ。さらに、彼らの前に走者を置きたくない相手バッテリーは、吉田正との勝負を避けることができず、好循環を生んでいる。開幕直後こそ、打線が湿っていたが、徐々に復調しているのは、二番・吉田正とクリーンアップの関係性もゼロではない。

北海道日本ハムファイターズ



 開幕から30試合で二番打者には11人が起用されている。最多は9試合の渡邉諒、次に5試合の近藤健介高濱祐仁と続く。二番に起用されて話題となったのは中田翔(3試合で起用)だ。不振にあえぐ主砲が4月27日のソフトバンク戦(PayPayドーム)、プロ14年目で初の二番に座り1安打3四球4出塁。チームは13安打7得点で11連敗中だったソフトバンクに勝利した。中田の二番起用は、周りを固める他の選手の気持ちを感じ取る刺激剤の意味も強かっただろう。二番のチーム犠打数は4。今季の二番は小技でつなぐタイプより長打力もある強打者が務めている。最多二番起用の渡邉も本来は主軸を担う打者。打線が機能するには「攻撃的二番」がキーマンとなる。

写真=BBM
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