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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

それでも前を向く、ソフトバンク・石川柊太は思いを言葉に込める

 

なかなか勝ちにつながらない投球が続いている石川だが、次へ、次へと進んでいる


 厳しい状況が続いている。と言っても、チーム状況ではない。ソフトバンクの現状の課題は先発陣だ。エース・千賀滉大を欠く中で、奮起が期待されるも……。勝ち星を上げられないどころかイニングももたず、先発ローテーションは再編に次ぐ再編を余儀なくされている。

 だが、この男だけは孤軍奮闘中だ。今季プロ入り8年目にして自身初の開幕投手を務めた石川柊太は、一人しっかりと先発ローテを守って投げ続けている。しかも、投球内容も決して非難されるものではない。登板7試合のうち6試合でクオリティースタートをマークし、防御率2.74。チームで唯一、規定投球回に達している。

 ただ、勝ちが遠い――。4月30日のオリックス戦(京セラドーム)は勝利投手の権利を持ち7回で降板したが、リリーフ陣が崩れサヨナラ負け。5月7日の西武戦(PayPayドーム)は序盤に2点のリードをもらいながら、ソロ2発に泣いた。

 試合後、また勝てなかったかあ……そう思っていると、石川柊太のTwitterが更新される。「次、次!!」「次も、自分の出来ること以上の事をやろうとしないように精一杯頑張ります!」。その言葉で、石川の強さをあらためて痛感する。

 昨季、最多勝と勝率第一位のタイトル2冠、悲願のスピードアップ賞も獲得した右腕。しかし、今季に向けては「昨年と同じことをやっていて抑えられる、そういう考えだと後退してしまう」。“レベルアップ”がいかに必要かを、開幕前に語っていた。そういう意味で「今年は勝負」だと言う。

 また昨季、良くも悪くも“次に向かう姿勢”がその先へつながっていくことを、身を持って経験した。だからこそ、“次への思い”は、思うだけでなく言葉にする。

「思うことも大事ですし、言葉にすることも大事。だから、自分の胸の内を言葉に出して、次へ、次へと進んでいきたい」

 前向きな言葉には、石川柊太の闘志が込められている。長いシーズンを言葉とともに戦っていく。頼もしい右腕が、次の登板も、また次の登板も、チームの勝利に向かってベストを尽くす。

文=菅原梨恵 写真=湯浅芳昭
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