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プロ野球記録ノート

被打率.083、奪三振率13.21 数字で見る新人無失点記録更新中の広島・栗林のすごさは?【プロ野球記録ノート】

 

10試合以上では3人が無失点


新人ながらクローザーを務め、無失点投球を続ける広島・栗林


 今季、開幕から10試合以上に登板して無失点だったのは(※継続中)、

 平良海馬(西)20試合 19回2/3 ※
 泉圭輔 (ソ)16試合 12回
 栗林良吏(広)15試合 15回2/3 ※
 松井裕樹(楽)14試合 14回
 唐川侑己(ロ)13試合 12回2/3
 近藤弘樹(ヤ)13試合 10回2/3
 福山博之(楽)12試合 11回2/3 ※
 マクガフ(ヤ)10試合 10回

の8人。3人が5月11日現在も無失点で、その中で注目したいのは広島のルーキー・栗林良吏だ。昨年19セーブを挙げクローザーを務めたフランスアが右ヒザの手術で開幕から戦線離脱。そこで白羽の矢が立ったのが栗林だった。

 開幕2戦目の中日戦(マツダ広島)、4対1で迎えた9回に初登板。3者凡退でプロ初セーブをマーク。その後もクローザーとして快投を見せ、現在リーグトップタイの9セーブ。5月3日の巨人戦(マツダ広島)では2対3のビハインドからの登板も無失点に抑え、2019年の甲斐野央ソフトバンク)に並ぶ、新人デビューから13試合連続無失点を記録(2リーグ制後)。4日の同カードも無失点に抑え、14試合連続の新記録をマーク、8日の中日戦(バンテリン)で15試合に伸ばした。

対クリーンアップで上がるギア


 打者53人に対し打たれたヒットは4本で被打率は.083。15回2/3を投げ23奪三振で奪三振率13.21とほぼ完璧な内容(ちなみに甲斐野は被打率.103、奪三振率12.80)。特にクリーンアップの三〜五番との対戦ではギアが上がるようで、延べ16人(途中交代を除く)に対し半分以上の9三振を奪っている。登板の場面を見ても、

 同点=3回
 1点リード=3回
 2点リード=4回
 3点リード=2回
 4点リード=2回
 1点ビハインド=1回

と、0〜2点リードが10回とタイトな状況が多い中、無失点を続けている。また3者凡退で終わらせたことは8度。圧巻は4月25日の巨人戦(東京ドーム)。8回に6点差を追いつかれ、9回に菊池涼介の犠飛で勝ち越し9対8。勢いに乗る巨人打線と対戦したが若林晃弘丸佳浩岡本和真を3者連続三振に斬って取った。5月8日の中日戦では、1点リードの8回一死満塁の場面で登板し、代打の井領雅貴を併殺打に打ち取る。初のイニングまたぎとなった9回も、ヒットと四球で無死一、二塁のピンチを招くが、2者連続三振などで切り抜け、ピンチにも動じない強心臓を見せた。

 新人のデビューからの連続無失点のイニング記録は31(1963年の阪神中井悦雄)だが、どこまで迫れるか注目だ。

永川コーチ超えの可能性は十分


 ルーキーで2ケタセーブをマークしたのは過去16人いるが、もう目の前に迫っている。2015年にDeNA山崎康晃が15試合目(チーム31試合目)で10セーブを挙げたのが最速だが、次の試合で2ケタに到達すれば、投手コーチでもある永川勝浩が2003年に記録した16試合目(チーム53試合目)での10セーブに並ぶ。

 またルーキーの20セーブ以上は、

【1】山崎康晃(DeNA)37 2015年
【2】与田剛 (中  日)31 1990年
【3】三瀬幸司(ダイエー)28 2004年
【4】永川勝浩(広  島)25 2003年
【5】牧田和久(西  武)22 2011年
【6】三上朋也(DeNA)21 2014年

の6人しかおらず、このままクローザーの地位を確立できれば20セーブ以上は十二分に可能で、球団記録でもある永川コーチ超えも狙える。

文=永山智浩 写真=BBM
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