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カネやん監督誕生でロッテはどう変わるのか?/週べ回顧1972年編

 

 3年前に創刊60周年を迎えた『週刊ベースボール』。現在、(平日だけ)1日に1冊ずつバックナンバーを紹介する連載を進行中。いつまで続くかは担当者の健康と気力、さらには読者の皆さんの反応次第。できれば末永くお付き合いいただきたい。

どうなる東京球場


表紙は巨人末次民夫


 今回は『1972年11月27日号』。定価は100円。

 1972年オフは何かとにぎやかだ。
 ライオンズに続き、きょうはロッテの話題を紹介しよう。
 中村長芳オーナーの下、5年契約を結んだ大沢啓二監督だったが、成績不振に対し、親会社のロッテ製菓から批判の声が上がり、退任に追い込まれた。
 また、中村オーナーは太平洋クラブの資金援助で西鉄を買収して自らがオーナーになり、ロッテオーナーを辞任している。

 ロッテの新監督は、ロッテ製菓・重光社長の希望もあって、かねてからのウワサどおり金田正一に決まった。
 ご存じのとおり国鉄、巨人で400勝を挙げた左腕。引退後はユニフォームを着ておらず、テレビの出演も多数。“史上初のタレント監督”とも書かれていた。
「金田野球とは一口で言えば、基礎体力の養成や。高校野球からして基礎がなっておらん。ワシはそれをびっしり鍛えてやるわ。川上(哲治)、西本(幸雄)両監督のように偉くはなれんにしても、なんぜワシは努力と意地で400勝も挙げた男や。まあ、見てみい」
 カネやんは相変わらず威勢がいい。

 対して去る大沢だが、11月10日、ロッテ製菓本社で重光社長に最後のあいさつをしたが、見送る関係者はなし。
「フロントというのは現場を機関車に例えれば線路になってくれねえといけねえ。それがここには枕木もねえや。線路はグニャグニャのコンニャクだった」
 捨てセリフも若親分らしい。

 金田人気で観客の大幅増は確実のロッテだが、フロントの頭を悩ましていたのが球場問題だった。11月2日、重光社長が東京スタジアムの小佐野賢治会長を訪ねて、「来年も東京球場を本拠地に使用したい」と伝えると、小佐野会長は累積赤字13億円を前面に押し出し、
「球場よりも実入りのいいアパートに転用したい。もしロッテさんが東京球場を本拠地として使いたければ買収してほしい。それがダメなら貸すわけにはいかない」
 と突っぱねた。

 提示した買収の値段は45億円。さすがの重光社長も「野球場で45億のカネは使えない。これからも使わせてもらえるよう何度も小佐野さんにお願いしていきたい」と言っていた。
 小佐野氏はバス、不動産、ホテル業など手広く商売をし、田中角栄首相の懐刀とも言われる人物だった。渋るロッテに対し、
「私なら5分で買うのになぜロッテは買わない?」
 と言ってニヤリ。クセモノだ。

 では、また月曜に。

<次回に続く>

写真=BBM
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