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史上3人目の快挙となるか!“防御率0点台セーブ王”は今季、現れるのか?

 

広島の守護神として堂々たるピッチングを披露する栗林


 今季、目覚ましい活躍を見せているセ・リーグのルーキーといえば、阪神佐藤輝明DeNA牧秀悟の名前を挙げる人が多いだろう。しかし、この2人以上を超える素晴らしい成績を残しているのが、広島の栗林良吏だ。新人ながら抑えに抜擢され、ここまで16試合に登板してリーグ2位タイの9セーブをマーク。失点はいまだ0と安定感抜群の投球を披露している。この調子を維持できれば「防御率0点台のセーブ王」も見えてくる。では、歴代のセーブ王の中で、防御率0点台を記録した選手には誰がいるのかご存じだろうか?

防御率0点台のセーブ王は2人だけ


「大魔神」の異名を取った横浜の抑え・佐々木


 過去に「最多セーブ投手」および「最優秀救援投手」のタイトルを受賞した選手の中で、防御率0点台だった選手はわずかに2人だ。

 1人目は1997年の佐々木主浩だ。入団3年目の1992年に抑えに定着し、初の最優秀救援投手となるも、その後は負傷などもあり低迷。しかし、1995年に復活してからは不動の守護神となり、4年連続でタイトル獲得。1997年には38セーブ、防御率0.90と圧巻の数字を残した。翌1998年は日本球界時代では自己最多となる45セーブをマークし、前年を上回る活躍を見せた。この年の自責点はなんと「4」で防御率は0.64。とにかく打たれなかった。

 ちなみに、絶好調だったこの年の佐々木に唯一「負け」をつけたのが当時最下位に低迷していた阪神。7月7日の試合で、現阪神監督の矢野燿大(当時は矢野輝弘で登録)がサヨナラタイムリーを放ち、佐々木の不敗神話を終わらせた。

絶対的守護神として2002年、西武の優勝に貢献した豊田


 2人目は西武で不動の抑えとして活躍した豊田清。2001年に先発から抑えに転向した豊田は、5勝3敗28セーブと上々の成績を残して抑えに定着。翌2002年も抑えを任されると、パ・リーグ記録(当時)となる38セーブをマークして最優秀救援投手に選ばれた。圧巻だったのはその安定感。0.78だった防御率もさることながら、この年与えた四球の数はわずか4個(うち1は敬遠)。1998年の佐々木が13与四球だったことを考えると、どれだけすごいことか分かるだろう。佐々木もそうだったが、この年の豊田も「出てくるだけで相手チームとファンに絶望感を与える」ほどの凄みがあった。

 惜しくも0点台に届かなかった選手では、1.03だった2011年の武田久(日本ハム)、2017年年に防御率1.09を記録したデニス・サファテ(ソフトバンク)が挙げられる。どちらも0点台まであとわずかだった。

 一方、防御率0点台を記録しながらも、最多セーブや最優秀救援投手のタイトルを受賞できなかった選手もいる。例えば2008年の阪神・藤川球児。防御率は0.67と優秀だったが、セーブ数は38でリーグトップのマーク・クルーン(巨人)の41セーブに及ばず。藤川は最優秀中継ぎ選手としては0点台を経験しているが、0点台のセーブ王にはなれなかった。また、ロッテで活躍した小林雅英は、2002年に防御率0.83をマーク。しかし、セーブ数は37。先述のように2002年は西武・豊田が38セーブを記録しており、タイトルにはわずかに届かなかった。

今季の有力候補は?


阪神のスアレスも防御率0点台と抜群の安定感を発揮


 防御率0点台のセーブ王はこれまで2人しか出ていないため、今季はぜひとも3人目に登場してもらいたいところだ。冒頭でも紹介した広島の栗林はその可能性を大いに感じさせる存在だが、ほかにも0点台のセーブ王が期待できる選手がいる。まずはセ・リーグ1位の10セーブをマークしているロベルト・スアレス(阪神)。加入1年目の昨季はいきなり最多セーブのタイトルを獲得しており、今季も防御率0.50と安定感のある投球で首位・阪神を支えている。

 一方、パ・リーグのリリーフ陣ではセーブ数リーグトップの松井裕樹(楽天)が0点台のセーブ王の有力候補だ。4月までは自責点0、防御率0.00だったが、5月に入ると立て続けに失点。防御率は0.90になってしまったが、大崩れする場面はなく、好調を維持すれば0点台でシーズンを終える可能性はある。

「防御率0点台のセーブ王」は過去にわずか2人しかいないレアな存在。今季は果たして史上3人目が生まれるのか? 現在、防御率0.00と圧巻の投球を披露している広島・栗林はもちろん、各チームの守護神の活躍を期待したい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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