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“台湾の4割男”王柏融が来日3年目で本領発揮か 「この活躍は本物」の声が

 

他球団に強まる警戒


今季は好スタートを切った王柏融


 この活躍は本物か。日本ハムの王柏融が3年契約最終年で覚醒の雰囲気を漂わせている。5月15日現在で打率.393、2本塁打、4打点。10試合出場のうち、9試合スタメン出場でマルチ安打を早くも5度記録している。打席の内容も価値がある。8日の楽天戦(東京ドーム)では田中将大から初回にフェンス直撃の中越え適時二塁打を放つと、4回も右中間を割る二塁打。12日のオリックス戦(東京ドーム)では2回に山本由伸のカットボールを右翼席に運ぶ今季初アーチ。先制弾が決勝打になった。

 パ・リーグの他球団スコアラーは「迷いなく振っている感じがします。今は穴がないのでどこでも打つ雰囲気がある。来日した当初は変化球へのもろさを感じましたが、今はきっちり対応している。まだ多くの試合を見たわけではありませんが、この活躍は本物ではないでしょうか。もともとミート能力は高い選手。勢いに乗っている王柏融の前に走者を出さないようにしないと」と警戒を強める。

 台湾プロ野球では、言わずと知れた天才打者だ。2016年にリーグ最高記録の打率.414、シーズン200安打をマーク。翌17年は打率.407、31本塁打、101打点と驚異的な数字で台湾人選手では初の三冠王を獲得した。この年の開幕前にはWBCに出場する侍ジャパンとの壮行試合で楽天・則本昂大からバックスクリーンに豪快な一撃を放っている。日米数球団が獲得に興味を示す中、18年オフに日本ハムに入団する。

 王は日本のプロ野球の影響を大きく受けている。中学生のとき、自宅のテレビで日本の中継が放映されるようになった。テレビで見るイチロー松坂大輔にあこがれ、プロ野球選手になることを夢見た。台湾で実績を積み上げ、初の海外移籍制度を行使して日本ハムに移籍。「十分に通用する。タイトル争いにも加わってくるのではないか」という声が多かったが、異国の地で待ち受けていたのは苦しい日々だった。

 移籍1年目の19年は故障と打撃不振で精彩を欠き、打率.255、3本塁打。背番号99から3に変更した20年も52試合出場で打率.207、2本塁打と振るわず。今年は来日3年目で初の開幕二軍スタートと崖っぷちだった。

初球から強いスイング


5月12日のオリックス戦では山本由伸から今季初アーチ


 王は真面目な性格で悩み過ぎる傾向があった。結果を求めるばかり当てにいくような打撃が目立ち、持ち味の思い切りの良さが消えていた。だが、今年は違う。初球から強いスイングできっちりアジャストする。台湾より日本の投手は制球力、キレが上のため対応に苦しんでいたが、2年間プレーして水に慣れたようにも感じられる。

 台湾では「大王」の愛称で抜群の人気を誇る。開幕は二軍だったが、4月27日に登録されると、4割を超えるハイアベレージで活躍している姿に祖国の野球ファンも喜んでいる。SNS上には「あなたは私たちの誇りです。今まで苦しい思いをしてきた分、きっと大きな花が咲くでしょう」、「王柏融は台湾を代表する天才打者だ。日本でも活躍が報じられて誇らしい。シーズンは長いがこのまま突っ走ってほしい」など喜びや激励のメッセージが多くみられる。

 最下位に低迷しているチーム状況に加え、新型コロナウイルス感染で主力が離脱するなど苦しい事態が続いた中、王柏融の活躍は上位浮上に不可欠な要素だ。日本ハムファン、台湾のファンの後押しを受け、「大王」の今後の活躍が期待される。

写真=BBM
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