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打率.359の吉田正尚は179打席で4三振…過去に最も三振しなかった首位打者は?

 

5月15日の楽天戦(ほっと神戸)では2点を追う6回、田中将大から8号逆転3ランを放った吉田正尚。通算100号まで残り1本としている


 2021年5月15日終了時点で、パ・リーグの打率トップを走る吉田正尚(オリックス)がとんでもない成績を残している。なんと42試合で179もの打席に立っていながら、ここまでの三振数はなんと「4回」。打率リーグ2位のオリックス・杉本裕太郎でさえも22三振なのだから、吉田の数字がいかに卓越したものか分かるだろう。吉田は昨季も29三振と少なかったが、今季は1ケタ三振で終える可能性も十分にある。では、過去の首位打者で最も三振しなかったのは誰なのだろうか?

最も三振しなかったのは川上哲治


「打撃の神様」の異名を取った巨人川上哲治


 今回は、2リーグ制となった1950年以降の首位打者を対象に、シーズン三振数を調査。その中で三振数が少なかった順のTOP10は以下のようになった。

●第1位……6三振
川上哲治(巨人/1951年)97試合424打席 打率.377

●第2位……14三振
川上哲治(巨人/1953年)121試合518打席 打率.347
若松勉(ヤクルト/1977年)122試合503打席 打率.358

●第4位……18三振
大下弘(東急/1951年)89試合 371打席 打率.383
白仁天(太平洋/1975年)102試合403打席 打率.319

●第6位……20三振
榎本喜八(東京/1966年)133試合558打席 打率.351
張本勲(東映/1968年)114試合432打席 打率.336
フェリックス・ミヤーン(大洋/1979年)98試合407打席 打率.346

●第9位……21三振
藤田平(阪神/1981年)107試合403打席 打率.358

●第10位……23三振
佐々木恭介(近鉄/1978年)109試合426打席 打率.354

 シンプルに三振が少なかった首位打者が1951年の川上哲治。97試合424打席と試合数はそこまで多くはなかったものの、シーズンを通してわずか「6回」しか三振しなかった。実は同じ1951年には、大映の酒沢政夫が91試合に出場して川上と同じ6三振をマークしている。しかし、首位打者は逃しているため今回は選外とした。

 第2位は14三振で川上と若松勉の2人が並んだ。1位は100試合未満での数字だったが、ともに120試合以上、500打席以上に立ちながらも14回しか三振していない。「ボールが止まって見えた」という逸話を残す川上はもちろん、若松も驚異的なバットコントロールを持った選手だった。

過去10年では昨季の吉田が最少


NPB最多の通算3085安打の東映・張本勲


 第4位は「青バット」の大下弘と白仁天の18三振。これに榎本喜八、張本勲という希代のヒットメーカー2人、ヒゲ面が特徴だった個性的助っ人のフェリックス・ミヤーンが20三振で続く。特に、榎本はTOP10入りの選手の中で最多の133試合、558打席に立っての数字。野村克也をして「攻略法がない」と言わしめた存在だけに、榎本から三振を奪うのは至難の業だった。

 第9位は藤田平、第10位は佐々木恭介と、当時チームのスターだった選手も入っている。このうち、藤田はシーズン最終日まで規定打席未満でタイトル対象外だった。最終戦となったダブルヘッダーでようやく規定打席に到達し、首位打者獲得。実はぎりぎりのタイトルホルダーだった。

 では、過去10年(2011年〜2020年)で見た場合は誰が一番少ないのだろうか? 実は昨季の吉田の29三振が最少で、吉田より少なかった選手は1987年の新井宏昌(近鉄/26三振)までさかのぼらないと存在しないのだ。

 1987年以降、イチローをはじめ、助っ人最多の3年連続首位打者のアロンゾ・パウエル、シーズン最多安打記録を更新した秋山翔吾などの歴代の名ヒッターが登場した。しかし、吉田はこのレジェンドを超える数字を昨季残したのだ。

 ヒットになるかどうかは関係なく、単に「三振をしない」というだけなら、プロの技術をもってすればそこまで難しくないだろう。しかし、チームのチャンスや得点を生み出しながら三振をしないのは、言うまでもなく至難の業だ。三振の少ない首位打者はそれだけチームへの貢献度も大きい。今シーズン、打率トップに立ちながらもわずか4三振と絶好調のオリックス・吉田。チームのAクラス入り、さらには優勝争いに加わるためにも、川上のNPB記録に迫る活躍を期待したい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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