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敗戦の中に収穫も。優勝に向けて負けられない慶大2回戦で力を出し尽くす覚悟の立大

 

「とにかく、接戦に持ち込みたい」


立大・溝口智成監督(左から2人目)は慶大1回戦で今季初黒星を喫したが、試合後は次戦へ向けて、切り替えようと必死だった


 慶大に2連勝すれば、2017年春以来のリーグ制覇が決まる。優勝の二文字が、ちらつかないわけがない。立大・溝口智成監督は「特に言わなくても皆、知っていますし……。今日の試合を勝つことが大事ですので」と、慶大1回戦(5月15日)に臨んだが4対11と、見せ場を作ることができなかった。

 今季7試合目にして初黒星である。立大は「勝てば王手」の大一番をなぜ、落としたのか?

 3カードを終えて5勝1分。接戦に持ち込んで、後半勝負。先発・池田陽佑(2年・智弁和歌山高)がゲームメークし、継投で逃げ切るのが、この春の立大の必勝パターンであった。慶大1回戦。今季7試合目で6試合目の先発となった池田が2回6失点で降板と大誤算。5回を終えて0対10と大量リードを許し、ここまでブルペンを支え、5試合に登板している左腕・宮海土(3年・国学院栃木高)、6試合に投げた栗尾勇摩(4年・山梨学院高)を投入する展開へは持ち込めなかった。

 溝口監督は先発・池田について「球自体は悪くなかったですが、高かったボールを打ち返された。優勝を意識してしまった中でのピッチングだったのか……」と振り返った。

 リーグ優勝を占う意味では、慶大2回戦を落とすことはできない。指揮官は力を込める。

「とにかく、接戦に持ち込みたい。その中でいかに守って、失点を防ぐか。負けられない試合という中で、力を出すしかない」

「切り替える」という意味では、すべて膿を出し切った、と、とらえることもできる。敗戦の中に収穫もあった。大きなビハインドを背負っても「気持ちが切れることはなかった。そこだけは、明日につながる」(溝口監督)と、7回から3イニングで計4得点したことを評価していた。

 第3週2日目から第4、5週と緊急事態宣言を受けて、無観客開催(立大は3試合)だった。この第6週から有観客で、外野席での応援活動も再開。上限5000人とはいえ、華やかな神宮が戻っただけに、勝利を届けたかった。

「心に響く、ベストプレーをしよう!!」

 溝口監督は慶大1回戦前のミーティングでこう話したという。まだ、取り返すチャンスは十分、残されている。

文=岡本朋祐 写真=矢野寿明
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