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実は強打者が多い!? 過去10年の打率ランキング最下位“逆首位打者”には誰がいる?

 


 新型コロナの影響で短縮シーズンとなった2020年、セ・リーグは佐野恵太(DeNA)、パ・リーグは吉田正尚(オリックス)が首位打者となった。では、規定打席到達者の中で「最も打率が低かった選手」は誰だったのか覚えているだろうか? 意外と見逃しがちな打率ランキング最下位だった選手を紹介する。

意外な選手の名前も?


 今回は、2011年から2020年までの10シーズンの打率ランキング最下位選手、つまり「逆首位打者」をまとめてみた。

●2011年
セ:ウラディミール・バレンティン(ヤクルト)打率.228
パ:小谷野栄一(日本ハム)打率.237

 2011年はバレンティインと小谷野が打率最下位。バレンティンは打率が最下位だったものの、31本塁打で最多本塁打のタイトルを獲得しており、史上3人目の“打率最下位本塁打王”になった。一方の小谷野は前年に打点王になり、打率も3割を記録していたが、2011年は負傷も影響したのか大不振。自己最低の打率.237に終わった。

●2012年
セ:筒香嘉智(DeNA)打率.218
パ:小谷野栄一(日本ハム)打率.228

 2012年はプロ3年目の筒香がセ・リーグの打率最下位となった。この年は初の2ケタ本塁打を記録するも安定性がなく、打率は伸び悩んだ。パ・リーグは小谷野が復調の兆しを見せるも、残念ながら再び打率最下位に沈んでいる。

●2013年
セ:マット・クラーク(中日)打率.238
パ:炭谷銀仁朗(西武)打率.215

 2013年は中日の助っ人・クラークと西武の炭谷が「逆首位打者」になった。クラークは力強いバッティングでチームトップの25本塁打を記録するも、打率はリーグ最下位。2011年のバレンティンのように、パワー系助っ人の典型的な例だったといえる。また、炭谷はもともと打てる選手ではなく、この年初めて規定打席に到達したことで最下位となってしまった。


●2014年
セ:阿部慎之助(巨人)打率.248
パ:アンドリュー・ジョーンズ(楽天)打率.221

 2014年は、巨人の阿部が僅差で最下位に沈んでいる。2012年には首位打者になるなど、「打てる捕手」でもあった阿部だが、この年と翌2014年は度重なる負傷により成績が落ち込んだ。一方、パ・リーグは楽天の主力であるジョーンズが大不振で、我慢強く起用されるもリーグ最下位の打率に終わっている。

●2015年
セ:中村悠平(ヤクルト)打率.231
パ:炭谷銀仁朗(西武)打率.211

 2015年の打率最下位はヤクルトの中村と西武の炭谷。どちらも正捕手としてチームをけん引したが、バットでは好結果を残すことはできなかった。特に炭谷はまったく打てなかったシーズンで、一時期は打率1割台とチームの勝利にバットで貢献できず。翌2016年から、打力のある森友哉の起用が増えるきっかけとなった。

●2016年
セ:小林誠司(巨人)打率.204
パ:中島卓也(日本ハム)打率.243

 2016年の小林誠司は打率.204とあわや1割台という成績。これは、2011年からの10年間での「歴代規定打席到達者」でも最下位の数字だ。パで最下位だった中島は、この年全試合に出場。打率は残念ながら最下位だったが、リーグトップの62犠打をマークするなど、打率以外は好結果を残している。

●2017年
セ:小林誠司(巨人)打率.206
パ:中田翔(日本ハム)打率.216

 2017年のセ・リーグは巨人の小林が2年連続の最下位。またもや打率.206と1割が目前という成績だった。捕手としてはリーグトップの盗塁阻止率を記録するなどチームになくてはならない存在だったが、バッティングが伴わないことでスタメンマスクをかぶる機会も減少した。パ・リーグは中田翔で、日本ハムの選手が2年連続で打率最下位。この年は5年連続継続中だった20本塁打の記録も途絶えるなど、特に不調だった。

●2018年
セ:菊池涼介(広島)打率.233
パ:安達了一(オリックス)打率.219

 2018年は広島の菊池とオリックスの安達が打率リーグ最下位だ。菊池は2014年、2016年と打率3割以上をマークしていたが、この年は序盤から不振で、打順降格なども経験。厳しいシーズンとなった。安達は正遊撃手に定着し、得意の守備でチームを盛り上げるも、バットでは貢献できず。以降も調子を取り戻せず、2019年、2020年も良い結果を残すことはできていない。

ヤクルト・村上宗隆


●2019年
セ:村上宗隆(ヤクルト)打率.231
パ:中村奨吾(ロッテ)打率.232

 2019年のセ・リーグはプロ2年目ながら全試合に出場し、36本塁打、96打点をマークした村上が打率最下位となった。バッティングは力強いが正確性がなく、打率はまったく上がらなかった。しかし、2020年は打率3割をマークし、今季も5月16日現在、打率.315と課題だったバットコントロールも大きく成長。スキのない選手へと成長している。パはロッテの中村が最下位。この年は17本塁打をマークしたがコンスタントなバッティングは披露できず、打率は伸び悩んだ。

●2020年
セ:ジャスティン・ボーア(阪神)打率.243
パ:山川穂高(西武)打率.205

 短縮シーズンとなった2020年は、阪神のボーアと西武の山川がリーグ最下位だった。MLB通算92本塁打のパワーが期待されたボーアは、17本塁打とまずまずの結果を残す。しかし、打率は「開幕から18打席無安打」という序盤の不振が響いて.243と低迷。この年限りで退団となった。山川は3年連続の本塁打王を狙っていたが、この年は大不振。足首の故障も影響して打率.205と自己ワーストを記録した。

 助っ人やチームの主砲などパワーはあるが三振が多い選手、または打力に欠ける捕手が最下位になるというケースが多い。しかし、コンスタントに出塁していた菊池涼介が、リーグ最下位になっていたのは意外ではないだろうか。今季はセ・リーグが京田陽太(中日)、パ・リーグは西川遥輝(日本ハム)が現在打率最下位だ。このうち、西川は毎シーズン3割近い打率を残しており、昨季も率3割とバッティングに定評のある選手。今季は首位打者も期待されていたが、果たして「逆首位打者」になってしまうのか、今後のプレーに注目だ。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
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