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編集部員コラム「Every Day BASEBALL」

「初球で相手が何を狙っているか探る」佐々木主浩も駆使していた投球術。平良海馬も……

 

98年には45セーブ、防御率0.64で優勝に貢献した佐々木


 投球術を駆使する投手といえば、多彩な変化球を精密な制球力でストライクゾーンの四隅に配して打者を打ち取っていくイメージだ。だが、それとは真逆の、剛腕タイプに投球術が必要ないかといえば決してそんなことはない。

 例えば佐々木主浩(元横浜ほか)。日米通算381セーブを挙げたクローザーだが、150キロ超の直球とフォークの2球種を武器に相手打者をねじ伏せた。直球で追い込み、決め球にフォークを投げ込む投球スタイルが頭に思い浮かぶが当然、そんな単純なものではない。2つの球種しかないからこそ、繊細な投球術を必要とした。

「まず初球で相手が何を狙っているのか探るんです」。極上のキレを誇る直球とフォークを投じるだけに、相手からしたら狙い球を絞らなければ対応は難しい。だからこそ、1球目で気配を察して、打者の心中を読み取ることに心を砕いたのだという。

 さらに、フォークも上下左右に投げ込めるように進化させた。女房役の谷繁元信は佐々木のフォークに関して次のように語っていた。

「佐々木さんのフォークは50センチくらい落ちる感覚。僕が受けたフォークはだいたい揺れて落ちるんですけど、佐々木さんのフォークは回転がかかっている。カーブのように曲がって落ちる。カーブがより鋭く、速くなった感じですね。ほかに、そういうフォークを投げる投手はいなかった。さらに左打者には中に入らないように外へシュート気味に、右打者には左打者とは逆方向に落とす。ほかにもカウントを取る、空振りを取る2つのフォークを投げ分けていましたね」

今季、22試合に投げ、無失点投球を続ける平良(左。右は森友哉


 現在の球界で剛腕ながら変化球を駆使しているのが平良海馬(西武)だ。今季、主にセットアッパーとして5月17日現在22試合に投げ、無失点投球を続けている。全364球中、ストレートは36.8パーセントでスライダー28.8パーセント、カットボール19.0パーセント、チェンジアップ14.3パーセントと変化球の割合のほうが多い。「目標は防御率0点台」と開幕前に語っていた平良。あらゆる球種を駆使して、願いをかなえる。

写真=BBM
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