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79年ぶりの記録更新なるか! 明大・陶山勇軌が挑む“別当薫超え”のシーズン安打

 

一番打者として打線をけん引


明大の4年生・陶山勇軌は4カード、8試合を終え打率.500でリーグトップ。早大2回戦ではリーグ戦初本塁打を放っている(写真=矢野寿明)


 ものすごい安打量産である。

 明大・陶山勇軌(4年・常総学院高)は東京六大学リーグ戦で第6週を終え、打率トップに立っている。

 数字が驚愕だ。36打数18安打、打率.500。早大2回戦ではリーグ戦初本塁打を放ち、7打点と一番打者として打線をけん引している。

 1年秋に神宮デビューも、昨秋までの5シーズンで、規定打席に到達したのは3年春のみ。3年秋までに通算19安打。この1シーズンだけで、ほぼ3年分を積み重ねたことになる。

 何が驚きなのかと言えば、8試合での成績だからである。新型コロナウイルスの影響により、今春は昨秋に続いて、対戦5校との総当たりの2試合の計10試合(ポイント制)で行われている。従来の2勝先勝の勝ち点制であれば、1シーズンで12〜15試合ほどを消化できた。ところが、今春は泣いても笑っても10試合。しかも、同点の場合でも9回打ち切りであるため(従来は原則12回、勝ち点をかけた試合は15回)、打席数は限られてくるのだ。

 10試合制は過去に15度。各シーズンの首位打者を振り返ってみる。

1935春 高須 清(早大)38−17.447
1935秋 小島利男(早大)38−18.474
1936秋 呉 明捷(早大)36−12.333
1937春 野村正守(帝大)34−13.382
1937秋 辻井 弘(早大)23−9.391
1938春 南村不可止(早大)25−12.480
1938秋 鶴岡一人(法大)35−13.371
1939春 南村不可止(早大)35−13.371
1939秋 小野欣助(早大)36−14.389
1940春 浅井礼三(早大)37−16.432
1941春 大舘盈六(慶大)33−13.394
1942春 別当 薫(慶大)40−20.500
1947春 久保木清(慶大)32−12.375
1947秋 土屋五郎(法大)31−14.452
2020秋 竹葉章人(立大)21−9.429
※数字は「打数−安打 打率」

1942年春。慶大・別当薫は10試合制で40打数20安打で首位打者に輝いている(写真は1946年春)


 すでに、陶山は1935年秋の早大・小島利男と並ぶ2位タイの18安打を放っている。10試合制でトップは1942年春の慶大・別当薫(元毎日ほか)の20安打。別当は1943年10月16日、戸塚球場で行われた出陣学徒壮行早慶戦(最後の早慶戦)に四番・中堅手で出場。戦後復活した1946年春は、主将としてリーグ優勝へ導いた名選手である。

 陶山は残り2試合で3安打以上を放てば、79年ぶりの記録更新となる。立大戦は5月22日に1回戦、23日に2回戦が予定されている。

文=岡本朋祐
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