まもなく開幕から2カ月が経とうとしているペナントレース。果たして、打線の軸である四番打者はしっかり働いているのか? セ・リーグ6球団で「四番打者」を100点満点で評価した。 記録は5月21日現在 阪神タイガース
阪神 85点
今年の阪神の四番は
大山悠輔――。誰もがそう思い、本人も自覚を持って臨んだ2021年だったが、開幕から調子は決して良くなく、本塁打も5本のみ。とはいえ、犠飛などチーム打撃で打点を挙げ、確実にランナーを迎え入れる打撃に徹した。しかし、5月に入り背中の張りで登録抹消。現在は打撃練習もできるまで回復し、完治した状態で一軍に帰ってくる。その大山の穴を埋めたのが黄金ルーキーの佐藤輝明だ。四番として11試合に出場し、2本塁打、12打点、打率.286と結果を残している。大山の復帰は間近だが、それまで佐藤輝がしっかりと猛虎打線をけん引していくはずだ。
読売ジャイアンツ
巨人 70点
2018年の四番抜擢(この年は打率.309、33本塁打、100打点)から4シーズン目、昨季は打点(97)と本塁打(31)の2冠を獲得した岡本和真は、開幕前に「打者として3割30本塁打100打点は最低限の数字」と力強く語っている。序盤は4月の月間打率.228のように苦しんだが(それでも5本塁打22打点)、5月に入り月間打率.315(6本塁打、14打点)と打撃は上向きつつあり、38打点はリーグトップ、11本塁打は同2位だ。母の日の5月9日の
ヤクルト戦(東京ドーム)では8回に1点差に迫るソロ。続く9回にはサヨナラ3ランと見事な仕事を果たしている。暑くなるこれからの季節のパフォーマンスに期待が高まる。
東京ヤクルトスワローズ
ヤクルト 100点
100点をつけて異論はないだろう。5月21日時点でリーグ3位の打率.315、同トップの12本塁打、同3位の30打点。打撃主要3部門ですべて3位以内にランクインしているのは、村上宗隆ただ一人だ。最も三冠王に近い男と言っていい。今季は三番を打つ
山田哲人が復調し、五番以降にも
オスナら好打者が名を連ねる。昨季は徹底的に警戒されたが、村上へのマークは分散されており、その中で甘い球は絶対に逃さない。打席での威圧感は到底21歳のものとは思えないが、若いゆえに無限の伸びしろも秘めている。これからどれだけ成績を伸ばしていくのか、今後も非常に楽しみだ。
広島東洋カープ
広島 65点
41試合消化時点で、鈴木誠也が26試合、
西川龍馬が12試合、
松山竜平が3試合、先発四番を務めており、最近は出場メンバーの顔ぶれにより、鈴木誠也が三番になったり、四番になったりと流動的になっている。四番での先発時は、松山こそ.091だが、
鈴木誠は.300、西川は.313と、打率は悪くない。ただ打点は3人で22とやや少ない。「四番の一撃でゲームを決めた」というシーンはあまりなく、ここ一番では抑えられている印象も。さらに、ここにきてのコロナ禍で、鈴木誠は陽性判定、西川と松山は球団の判断で自宅待機と、四番経験者がすべて一軍から消える非常事態。交流戦から誰がその座に座るかが注目される。
中日ドラゴンズ
中日 60点
今年も開幕四番にはビシエドが座った。2016年から6年連続。その開幕戦で3度目となる本塁打を放って2021年をスタートさせた。コロナ禍の影響で来日できず、開幕に間に合わなかった助っ人が多い中、さすが親日家のビシエドは要領を得ていた。頼れる主砲はしかし、12試合目にして上肢のコンディショニング不良で登録抹消に。四番は
福田永将、
A.マルティネスが務めることになったが、迫力不足だった点は否めない。ビシエドは最短期間で戻ってきたものの、決して本調子とは言えない状態が続いている。5本塁打&19打点はチームトップながら四番の成績としては物足りない。交流戦を迎え、ここからどれだけ調子を上げていけるか。深刻な得点力不足に苦しむ中、四番のバットにチームの浮沈がかかっている。
横浜DeNAベイスターズ
DeNA 30点
昨季から引き続いて、佐野恵太が開幕から四番を張ってきた。4月は打率.323と昨季、首位打者のタイトルを獲得したバットは健在だった。雲行きが怪しくなったのが5月からで打率こそ.327とハイアベレージも得点圏打率は前月の.346から.071と急降下。三番を打つ
オースティンが5月の出塁率.450と高い数字だけにチャンスで回ってくることが多かったが、佐野はことごとくチャンスをつぶし、それがチームの勝敗にむすびつく試合も多かった。なかなか勝ち星が積み重ねられない
三浦大輔監督は、交流戦を前に打順の入れ替えを決断。四番にオースティンを指名し、打線のテコ入れを図っている。
写真=BBM