開幕してから約2カ月が経過し、交流戦が開幕。プロ野球も序盤戦に突入しようとしているが、今季は新人選手の活躍が目立っている。果たして、2021年のルーキーたちの評価は? セ・リーグ6球団の新人事情を100点満点で採点した。 記録は5月28日現在 阪神タイガース
阪神 95点
期待のドラフト1位が規格外の活躍、2位が先発ローテーションの一角として3勝をマーク。そして、6位が遊撃手のレギュラーをつかみかけている、となれば採点は高得点になるのは必然だ。4球団競合の末、入団した黄金ルーキーの1位・佐藤輝明は一時期、四番を務め、13本塁打はリーグ1位タイ、38打点は同2位。衝撃だったのは5月28日の
西武戦(メットライフ)だ。9回に勝ち越し3ランを右中間席上段にたたき込むなど、1958年
長嶋茂雄(
巨人)以来の新人1試合3本塁打を放った。2位左腕の
伊藤将司もすでに完投勝利を収めるなど安定した投球を見せ、6位・
中野拓夢は安定した守備と攻撃的な打撃で遊撃手として定着。そのほか開幕一軍入りの8位・
石井大智に、一軍昇格を果たした5位・
村上頌樹の投手2人も順調に成長している。7位の高卒、
高寺望夢は二軍戦で攻守にいい動きを見せ、育成もしっかり行われている。あとは即戦力として期待された3位の右腕・
佐藤蓮と4位の強肩捕手、
榮枝裕貴の一軍昇格を待つのみだ。
読売ジャイアンツ
巨人 10点
支配下新人7人のうち、一軍出場があるのはドライチの平内龍太だけ。オープン戦時点では先発ローテーション候補の1人として枠を争ったが、この争いに敗れ、開幕は二軍スタート。一軍デビューはリリーフで飾るも、昇降格を繰り返し、3試合(すべてリリーフ)で防御率14.40と期待に応えられていない。プレシーズン期間中に話題をさらった身長200センチの5位・
秋広優人も開幕を二軍で迎え、クリーンアップを任されるなどして3本塁打を放っているが、現在は三軍調整中。育成選手を含めると外野手の育成11位・
保科広一など二軍で結果を残している選手が多いのは楽しみだが、あくまで一軍でのここまでの働きを評価の対象とするならば、低評価とせざるを得ない。5月26日に二軍で初先発した社会人出の4位・
伊藤優輔が平内の次の一軍昇格候補か。
東京ヤクルトスワローズ
ヤクルト 50点
5月28日現在で一軍に帯同している新人は、内野手のドラフト4位・元山飛優のみ。守備力の高い遊撃手で、相手先発が右投手の場合は先発出場する機会も多いが、
西浦直亨との併用で打率も.196と、及第点とは言えない。ほか、俊足を誇る5位・
並木秀尊が代走や守備固めで出場機会を増やしたが、打撃面で課題が残り、今はファームで打席数をこなしている。1位の
木澤尚文が一軍出場なしで、2位の
山野太一も、唯一の一軍登板試合で2回途中7失点と炎上した。即戦力を見込まれた2人だけに、後半戦の巻き返しが期待される。現時点では決して高く採点できないが、期待値も込めて50点にした。
広島東洋カープ
広島 95点
新人ながら、開幕からクローザーに指名されたドラフト1位の栗林良吏が、2リーグ制後の新人記録を塗り替える開幕19試合連続無失点と満点の出来。開幕直後は勝ちパターン継投にも起用された2位の左腕・
森浦大輔、3位の
大道温貴も、現在は起用法は流動的となっているが、一軍で投げ続けて森浦は1勝5ホールド、大道は2勝3ホールドと、しっかりチームに貢献している。この3人の頑張りなくしては、今季の救援陣の安定はあり得なかったと言ってよく、満点に近い点数をあげてもいいだろう。野手ではドラフト6位の
矢野雅哉が一、二軍を往復する立場。守備ではいいものを見せているが、あとは打力をどれだけ発揮できるか。
中日ドラゴンズ
中日 65点
ドラフト1位の高卒ルーキー・高橋宏斗は先発に中継ぎにと二軍で順調に経験を積んでいる。同じく高卒投手の
福島章太と
加藤翼はまだ二軍でも登板はなく、身体づくりに重点を置いている状況だ。日体大から2位で入団した投手の
森博人、JFE西日本から6位で入った外野手の
三好大倫は即戦力としての期待が高かったが、まだ二軍でレベルアップ中。今季中の一軍昇格が目標となる。攻守走と三拍子そろった高卒野手の3位・
土田龍空も二軍でショートのポジションをつかみ、実戦を積んでいる段階だ。ルーキーで唯一の一軍昇格は意外にも
近藤廉だった。育成1位から開幕してすぐに支配下登録。そしてこの5月に一軍に上がったばかり。プロ初登板も間もなくだ。
横浜DeNAベイスターズ
DeNA 60点
ドラフト2位の牧秀悟は開幕スタメンを勝ち取り、ここまで50試合で28打点はチームトップ。打率.284、9本塁打はルーキーにしては堂々たる数字だ。対照的だったのが、1位の右腕・
入江大生。開幕から先発ローテ入りするも4連敗。二軍降格後に右ヒジに違和感を抱え、リハビリに専念する。5位の左腕・
池谷蒼大も開幕一軍を果たしリリーフとして期待されたが、実戦でクイックの弱点を露呈。現在はファームで技術を磨く。一軍出場した3選手以外はファームで経験を積んでいる段階だが、4位入団の
小深田大地は四番に座るなど、高卒ルーキーながら存在感を発揮している。
写真=BBM