週刊ベースボールONLINE

HOT TOPIC

2ケタ負けるのも意外と難しい? 過去10年の「最多敗投手」は誰?

 

 昨季の最多勝は、セ・リーグが14勝の菅野智之(巨人)、パ・リーグは11勝を挙げた千賀滉大石川柊太(ともにソフトバンク)、涌井秀章(楽天)だった。では、反対に「最も負けた投手」は誰だったのか覚えているだろうか? 今回は、過去10年の「最多敗投手」を調べてみた。

最多敗戦にはチーム事情も大きく影響



 まずは2011年から2015年シーズンまで5年間の「最多敗投手」をまとめてみた。

●2011年
【セ・リーグ】
高崎健太郎(横浜)5勝15敗

【パ・リーグ】
武田勝(日本ハム)11勝12敗
涌井秀章(西武)9勝12敗
成瀬善久(ロッテ)10勝12敗

●2012年
【セ・リーグ】
バリントン(広島)7勝14敗
岩田稔(阪神)8勝14敗

【パ・リーグ】
岸孝之(西武)11勝12敗

●2013年
【セ・リーグ】
三浦大輔(DeNA)9勝13敗
八木亮祐(ヤクルト)5勝13敗

【パ・リーグ】
吉川光夫(日本ハム)7勝15敗

●2014年
【セ・リーグ】
能見篤史(阪神)9勝13敗

【パ・リーグ】
辛島航(楽天)8勝13敗
メンドーサ(日本ハム)7勝13敗

●2015年
【セ・リーグ】
能見篤史(阪神)11勝13敗

【パ・リーグ】
石川歩(ロッテ)12勝12敗

 数字の上で目立つのは、5勝15敗と大きく負け越している2011年の高崎健太郎だろう。防御率3.45と、シーズンを通して見ると悪い投球ではなかったが、打線の援護がない試合が多く黒星が増えてしまった。当時の横浜は4年連続リーグ最下位とまさにどん底。援護が得られる機会がもう少し多ければ、通算勝利数も伸びただろう。

 また、阪神時代の能見篤史は、後述の2016年も含めて3年連続でリーグ最多敗を記録。2014年、2015年は13敗、2016年は12敗と苦しんだ。3年連続でリーグ最多敗となった左投手は、現在までに能見ただひとり。ちなみに、連続最多敗記録は大洋の秋山登が1956年から1959年にかけて記録した4年連続だ。

現在はMLB所属の有原も2度記録


日本ハム時代の有原航平


 続いて、2016年から2020年までの最多敗投手をまとめてみた。

●2016年
【セ・リーグ】
山中浩史(ヤクルト)6勝12敗
能見篤史(阪神)8勝12敗

【パ・リーグ】
西勇輝(オリックス)10勝12敗

●2017年
【セ・リーグ】
石川雅規(ヤクルト)4勝14敗

【パ・リーグ】
有原航平(日本ハム)10勝13敗

●2018年
【セ・リーグ】
ブキャナン(ヤクルト)10勝11敗
今永昇太(DeNA)4勝11敗4ホールド

【パ・リーグ】
西勇輝(オリックス)10勝13敗

●2019年
【セ・リーグ】
小川泰弘(ヤクルト)5勝12敗

【パ・リーグ】
二木康太(ロッテ)7勝10敗

●2020年
【セ・リーグ】
青柳晃洋(阪神)7勝9敗

【パ・リーグ】
有原航平(日本ハム)8勝9敗

 2016年以降で、勝利と敗北の差が最も大きかったのが2017年の石川雅規。4勝14敗と「借金10」という厳しいシーズンだった。過去10シーズンの最多敗投手で「借金10」だったのは、2011年の高崎と石川の2人。特に石川はシーズン終了までまったく勝てず、翌シーズンの開幕2戦目まで11連敗と苦しんだ。

 また、現在はレンジャーズ所属の有原航平は、昨季と2017年の2シーズンで最多敗を経験。特に2017年は、2ケタ勝利する一方で黒星もリーグ最多と、チームのエースとしては頼りない成績だった。直近ではオリックス時代の西も2ケタ勝利を挙げながらも13敗を記録。この年は好投するも援護が受けられない試合が多く、黒星が多くなってしまった。

 過去10年の「最多敗投手」を紹介した。投手自身が不調というケースも多いが、2018年のオリックス・西のように「先発好投も援護がない」という形で最多敗になる場合も見られる。現在もオリックスはエースの山本由伸が2年連続で援護率リーグワースト。今季も好投しながらもリーグ最多の5敗という状況だ。エースを「最多敗」にしないためにも、打線の援護を期待したい。

文=中田ボンベ@dcp 写真=BBM
週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部

週刊ベースボール編集部が今注目の選手、出来事をお届け

関連情報

みんなのコメント

  • 新着順
  • いいね順

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング