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背番号物語

【背番号物語】オリックス「#15」21世紀には「加藤大輔−佐藤達也」とリリーフエースのリレーも…阪急の初代は悲劇のエース

 

東の「14」、西の「15」


背番号「15」を着けた佐藤のストレート勝負は痛快だった


 中日では西沢道夫が着けて永久欠番の第1号となり、21世紀に広島では黒田博樹の引退とともに現時点では最後の永久欠番となっている「15」だが、名古屋と広島の中間(?)に本拠地を置くオリックスの「15」は、地理的に近い阪神と比べても地味な印象がある。この2021年はプロ3年目で右腕の荒西祐大が背負っているが、まだ本領を発揮できていない。とはいえ、そんなナンバーにも物語があるのが背番号。あまり顧みられない系譜を、前身の阪急がプロ野球の創設に参加した1936年までさかのぼってみたい。

 荒西の前任は2018年までプレーした右腕の佐藤達也だった。ドラフト3位で12年に入団して「15」を背負うと、強気のストレート勝負で翌13年にはセットアッパーとして40ホールドをマークして、以降2年連続67試合の登板で最優秀中継ぎ投手に。15年にはクローザーとしても機能して13セーブ15ホールドポイントの活躍もあったが、その後は徐々に失速。ラストイヤーは一軍での登板機会に恵まれないまま終わっている。

05年に背番号を「15」に変え、リリーフとして台頭していった加藤


 その前の加藤大輔もリリーフで結果を残した右腕だ。入団は03年で、まだニックネームがブルーウェーブだった時代。入団時は「14」だった加藤は1年目からリリーバーとして即戦力となり、チームがバファローズとなり、ホールドが両リーグで公式記録となった05年に「15」となると自己最多の23ホールド、08年には33セーブで最多セーブに輝いた。加藤は一軍登板なしに終わった11年オフに楽天へ移籍、2年間プレーして引退している。現役の荒西は未知数だが、21世紀のオリックスで「15」は加藤に始まったリリーフエースの系譜といっていいだろう。

 一方、阪急の系譜には先発タイプの右腕が並ぶ。初代の北井正雄は、「14」で巨人の永久欠番となっている沢村栄治と「東の沢村、西の北井」と並び称された右腕。背番号も沢村に続く「15」だったのも不思議な縁というべきか。まだプロ野球が手探りだった1936年の秋季、第2回の日本野球選手権リーグ戦では13試合の登板で6勝、リーグ5位の防御率1.64をマーク。阪急の初代エースといえる活躍を見せたが、翌37年8月7日に急逝。その翌38年は早くも欠番となっている。まだプロ野球に永久欠番が存在しない時代だったが、のちに同じシーズン中の悲劇で巨人の「4」が永久欠番となり、このとき戦死した沢村の「14」も顧みられて永久欠番となったことを考えると、時代さえ違えば阪急の「15」も永久欠番となっていたかもしれない。

 悲劇は続く。「15」の2代目となった右腕の荒木政公も1年で応召され、病死。阪急の「15」も短期間リレーが続き、5年を超えて背負い続ける選手が初めて現れたのは、戦後の2リーグ制に入ってからだった。

阪急ではドライチ右腕がリレー


67年にドラフト1位で阪急に入団した水谷は「15」を着けた


 55年から61年までの7年間「15」でプレーした種田弘は阪急でプロに復帰したことで才能を覚醒させた右腕。大洋(現在のDeNA)ではゼロ勝も、阪急1年目に8勝、2年目には17勝を挙げて、低迷期のチームを支えた。初めて10年を超えたのがドラフト1位で67年に入団して後継者となった右腕の水谷孝だ。2年目の68年に15勝を挙げてリーグ連覇を支え、4度の2ケタ勝利を残した水谷だが、連続して10年を超えたわけではなく、76年だけ巨人でプレー、翌77年に復帰して再び「15」を背負い、その翌78年オフにユニフォームを脱いでいる。

 続く79年から背負った右腕の関口朋幸もドラフト1位で入団した右腕で、81年には12セーブも、右ヒジを手術して84年からは練習生の扱いに。それでも86年に復活、90年まで投げ続けた。翌91年から7年間は、のちにメジャーでも投げた右腕の野村貴仁で、野村が巨人へ移籍すると、98年は右腕のウィンが「15」で49試合にフル回転。翌99年にウィンは「38」となり、「39」のウィリーと“助っ投”が背番号でも並ぶと、「40」から転じて「15」を継承したのがプロ7年目で左腕の金田政彦だ。系譜で貴重な左腕の金田は「15」1年目に自己最多の11勝。2001年には開幕投手を務めて21世紀の第1号を被弾したこともあった。

99年に「40」から「15」に背番号を変更した金田


 金田は02年に「11」となり、分配ドラフトで05年に楽天へ移籍して、翌06年までプレー。金田の後は来日1年目の01年は「18」だった具臺晟が韓国時代も背負っていた「15」に。具が04年限りでメジャー移籍すると、加藤が「15」を着けることになった。

【オリックス】主な背番号15の選手
北井正雄(1936〜37)
水谷孝(1967〜75、77〜78)
加藤大輔(2005〜11)
佐藤達也(2012〜18)
荒西祐大(2019〜)

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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