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フレッシュトーナメント・早大戦で勝利に導く一打を放った慶大・齋藤來音。原動力は先輩たちの神宮での活躍

 

「早稲田に負けるのは悔しい」


慶大・齋藤來音内野手(左)は5月31日、早大とのフレッシュトーナメントで唯一の得点となる適時二塁打。1対0とチームの勝利に貢献した


 やはり「早慶戦」は特別である。

 慶大は5月31日、早大とのフレッシュトーナメントに1対0で勝利した。前日まで行われていた早慶戦では1回戦(同29日)で勝利(3対2)したものの、2回戦(同30日)は惜敗(2対4)。慶大は同カードを迎える前に3季ぶり38度目のリーグ制覇を決めていたが、ライバルとの直接対決は「別もの」だ。

「早稲田に負けるのは悔しい。借りを返す。全体集合があったんですが『早慶戦の3連戦目のつもりで戦おう!!』と確認しました」

 こう熱く語ったのは「三番・二塁」で先発出場した齋藤來音(2年・静岡高)だ。4回表、左越え適時二塁打で先制。中軸の一振りで、慶大がこの1点を守り切った。

「アウトコースのボールをうまく芯に当てられました。良いスイングができました」

 静岡高では2年春、3年夏の甲子園出場。左右に打ち分けるシュアな打撃は、ドラフト候補に挙がるほどの打撃センスの持ち主だった。

 齋藤には原動力があった。高校時代、一緒にプレーしてきた先輩たちの神宮での活躍だ。

「村松さん(村松開人、明大3年、二塁手)がベストナインを受賞されて、立教の黒岩さん(黒岩陽介、3年、捕手)、東大の梅林さん(梅林浩大、2年、内野手)もリーグ戦で出場されている。自分も、負けてはいられないです」

清原に関しては「すごいと思います」


齋藤(左)は試合後、1年生・清原正吾内野手(右)と取材に応じた(撮影時のみ、マスクを外しています)


 この日の試合後、神宮の記者席裏では1年生・清原正吾(慶應義塾高)と取材に応じた。

 清原は出場機会がなかったが、齋藤は後輩の打撃について、エピソードを明かしてくれた。

「バッティングは力があって、フリー打撃でも飛ばしています。私生活では面白く、接しやすい後輩です」。清原は中学時代にバレーボール部、高校時代はアメフト部で活動。小学6年生以来の野球だが、約6年のブランクをまったく感じさせないプレーぶりに、齋藤は「すごいと思います」と目を丸くさせた。

 180センチ77キロ。右投左打。齋藤は大型内野手の部類に入るが、清原は186センチ。ところが、写真では身長の差を感じないのはなぜか。足下を見ると、齋藤はつま先を上げ、必死に背伸びをしていたのである。

 お茶目な一面も持つ2年生。1、2年生で編成されるフレッシュトーナメントは、下級生にとって、アピールの場でもある。結果次第では、6月7日に開幕する第70回全日本大学野球選手権記念大会でのメンバー入りも視野に入る。慶大・堀井哲也監督はネット裏で目を光らせていた。実力の世界。齋藤は1打席、1打席、果敢に勝負をかけていく構えだ。

文=岡本朋祐 写真=矢野寿明
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