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【MLB】1日に5人〜10人が移籍のメジャー。DFAも必ずしも悪くない

 

DFAで40人枠を外されドジャースへ金銭トレードとなった筒香。移籍2試合目には四番として起用され、1打点。この仕組みは選手にとって再生のいい機会になる可能性は高い


 筒香嘉智選手がレイズからドジャースに移籍した。レイズでは結果を残せず、DFA(あえて直訳すれば任命の明示/DESIGNATED FOR ASSIGNMENT)で40人枠から外されたのだが、筒香のジョエル・ウルフ代理人は「DFAは必ずしも悪いことばかりではない、新たなチャンスが巡ってくる機会だ」と言う。

 ただ仕組みは複雑なので移籍の10日前にロサンゼルスからタンパに飛び、筒香本人に仕組みを説明しておいたと明かす。レイズはすぐにウエーバーにかけた。ほかの29球団で欲しいチームはこの機会にクレイムし、契約ごと引き取れる。だがここで手を挙げるチームはなかった。

「大きな契約だったので(残り金額549万ドル)、どの球団もクレイムはしなかった。ウエーバーをクリアしたあと、数球団がレイズに連絡してきてトレードの話し合いになった」

 クリアしたあとだと、獲得球団はメジャーの最低年俸の日割り分(最大43万ドル)を払うだけで、残りはレイズの負担になる。あとはトレードなので金銭か交換選手の話し合いだ。「複数の球団が興味を持ってくれたのはヨシにとって良かった。自分がまだメジャーの球団から必要とされていると実感できた」とウルフ代理人。

 レイズはドジャースとお金で合意した。「通常ならレイズはメジャー2年目のヨシをマイナーに送る。しかしながら彼の契約には本人の同意なしにマイナーに送れないという条項があり、他球団が(メジャー・リーガーとして)興味を持っていると分かった中、ヨシがマイナー行きを選ばないのは分かっていた。交渉期限が過ぎればレイズは無償で筒香を失う。それでお金でトレードした」。

 ウルフ代理人はメジャーでは移籍で生まれ変わった選手は少なくないと言う。「インターネットを見れば、毎日5人から10人の選手がチームを移っているのが分かる。一つの球団で結果が出なくても、それでメジャーで通用しないと決まったわけではないと知っているからだ。レイズの先発投手タイラー・グラスノー(今季4勝2敗、防御率2.35)はパイレーツ時代にさっぱりだったが移籍後才能が開花した。だから彼は「これはチャンスだから」とヨシの背中を押してくれた」。

 ドジャースは2019年オフのポスティングでも興味を示していた。「今季もこういうケース(DFA)がありうると、ヨシの動向を注視していたようだ。ドジャースは他球団で結果を出せなくても、自チームのコーチ陣なら再生できると、以前からこういったプロジェクトに熱心だ。2年前、メッツをクビになったトラビス・ドーノー捕手もここの指導で(92試合で16本塁打と)打てるようになった。打撃コーチはとても優秀だ」。

 ロバート・バンスコヤックコーチは現レッドソックスのJD・マルチネスを生まれ変わらせたことで有名になった。「レイズのコーチがよくなかったというのではない。実際とてもよくしてくれたし、ヨシも感謝している。しかしながら野球選手はプレーする場所を変え、違う声を聞くことで生まれ変わったりする。球界ではそんなことがよく起きる」。DFAも必ずしも悪くないのである。

文=奥田秀樹 写真=Getty Images
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