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「一発で仕留める」というフレーズから感じた慶大・清原正吾の“長距離砲”としての資質

 

堀井監督は「雰囲気があるんですよ!」


慶大の1年生・清原正吾内野手


 慶大・堀井哲也監督は「スーパー1年生」の素材に、あらためて惚れ込んだ。

 東大とのフレッシュトーナメントBブロック(6月2日)。慶大の新入生・清原正吾(慶應義塾高)が、代打で神宮デビューした。右飛に終わったものの、指揮官は大器の片鱗を見逃さない。父は西武巨人オリックスでNPB通算525本塁打を放った清原和博氏だ。

 186センチ90キロ。ネクストサークルから打席へ向かう背中から、貫録十分。父のお馴染みだった登場曲が聞こえてきそうだった。堀井監督は「雰囲気があるんですよ!」と、球界を代表する大打者・清原氏と重ね合わせた。

 指揮官の口調は、さらに熱気を帯びる。

「バッターというのは、結果、状況、サインが気になったりして(自分のペースを)、貫くのが大変なんです。平常心でボールを見逃していた。『打ってやるんだ!』という自信なんでしょうね? むしろ、経験がないからできているのか……」

 清原の野球歴は、慶應幼稚舎(小学校)時代の3年から6年までプレーしたオール麻布での4年間のみ。慶應普通部(中学校)ではバレーボール部、慶應義塾高ではアメフト部に在籍。大学から初めて硬式野球に触れるという異例のチャレンジだ。

 社会人野球の三菱自動車岡崎、JR東日本と指導実績豊富な堀井監督は「(中学、高校でブランクのある選手が)こういう舞台に出てくる選手はいない。合流した2、3、4、5月で相当、進歩している」と目を丸くさせる。

「真っすぐは、とらえることができる。変化球は経験なので……。今後は(リーグ戦レべルの)Aクラスの投手のボールのキレに、アジャストしていくか……。当初は3年ぐらいかと思っていましたが、来年ぐらいから(レギュラー争いに)絡んでくる可能性がある」

 入部当初は外野手だったが「スローイングが柔らかい。内野のほうが合っており、野球を覚えることができる」(堀井監督)と、1カ月も経たないうちにコンバート。グラウンドでのシートノックでは三塁も練習しており、右の大型内野手としての成長が期待される。

打席では勝負師の鋭い視線に


清原は東大とのフレッシュトーナメントBブロックで神宮初打席に立った。結果は右飛も、大きな可能性を感じるスイングだった


 初めて神宮でベンチ入りした早大戦(5月31日)では、出場機会がなかった。カメラマンは試合中、ベンチで控えていた清原の一挙手一投足を追っていたが、優しい目が印象的だったという。しかし、2日後、打席に入ると表情は一変、勝負師の鋭い視線になった。やはり、気になるのか。たびたび、一塁スタンドで観戦する父を見ていたという。父は祈るように息子の打席を、目に焼きつけていた。

 約6年のブランクを感じさせない対応力。清原は神宮初打席を「一発で仕留めることができず、悔しい。次のチャンスに向けて、しっかりと準備していきたい」と振り返った。

 一発で仕留める、というフレーズから、長距離砲としての資質を強く感じた。父のDNAを継ぐ、清原のバットから目が離せない。

文=岡本朋祐 写真=矢野寿明
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