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背番号物語

【背番号物語】日本ハム「#51」若き大杉勝男が「月に向かって打った」時代。もともとは投手の出世ナンバー?

 

「3」を1年で捨てて「51」に


背番号「51」を着け主砲として存在感を発揮した大杉


 プロ野球、いや世界で「51」を背負った選手といえば、多くのファンが真っ先にイチローの名前を挙げるはずだ。その偉大さは説明不要だろう。オリックスで「51」を背負い、プロ野球で初めてシーズン200安打を突破する大ブレークを果たしたイチロー。そのままヤンキース時代を除いてメジャーでも最後まで背負い続けた「51」は、イチローの出世ナンバーであり、そして象徴でもあった。一方、イチローがブレークする前から「51」には複数チームで打者の出世ナンバーという傾向があったことは、そのオリックスの「51」を紹介した際にも少し触れているが、その代表格が日本ハムだ。

 戦争によって中断したプロ野球が戦後すぐに再開されると同時にセネタースとして参加した日本ハム。チームは名称の変更、合併などを繰り返しながら、1953年に東京は駒沢球場に本拠地を置き、翌54年に東映となって安定期に入った。“駒沢の暴れん坊”時代だ。駒沢球場は東京オリンピックのために東京都へ返還され、本拠地は62年に神宮球場、64年には後楽園球場と変わっていったが、東映ナインの“暴れん坊”ぶりは変わらず。そんな“暴れん坊”の筆頭格といえる大杉勝男が1年目から背負っていたのが「51」だった。

 65年にテスト入団。まだ選手の数も少なかった当時、50番台の背番号は指導者が着けることも多く、近年でいえば70番台や90番台の背番号をイメージすれば、大きな間違いはないだろう。最終的には通算486本塁打を残した大杉だが、1年目から戦力となったものの、65年は1本塁打のみ、翌66年は8本塁打と、まだ長距離砲という印象はない。迎えた67年、飯島滋弥コーチが打撃コーチに就任したことが転機となる。飯島コーチが後楽園球場の左翼スタンド上空に浮かぶ月を指さして「スギ、あの月に向かって打て!」と言ったエピソードは、このころのもの。この67年に大杉は27本塁打を放ち、長距離砲の仲間入りを果たした。

 ちなみに、67年は「40」だった飯島コーチだが、翌68年からは「50」に。「50」、「51」で師弟が並ぶ珍事は69年まで続いたが、飯島は70年8月に死去。この70年に大杉は44本塁打、129打点で初の本塁打王、打点王の打撃2冠に輝き、敬愛する師匠に捧げた。なお、この70年の15犠飛は半世紀を経た現在もプロ野球記録として残る。

 その後、大杉はチームが日拓となった73年に「3」へと変更。この73年は巨人がV9を達成したシーズンであり、のちに「3」を巨人の永久欠番とする長嶋茂雄も現役で、栄光の背番号への変更だったが、翌74年には「51」に戻して、日本ハムの初代「51」となった。ただ、大杉は1年でヤクルトへ移籍してからは、引退まで「8」でプレーしている。

日本一エースの1年目


小田は「51」を着けたがイチローを意識した背番号だったか


 歴代で最長は85年から97年まで着けた丑山努だが、通算13試合のみ、無安打のまま引退。大杉が事実上の放出だったためか、その後の「51」には伸び悩む選手が続いた。98年に丑山の後継者となった小田智之は札幌ドームの本拠地1号を放つなど存在感を見せたが、「イチローばりの打撃センス」と言われて1年目から「51」を背負った左打者で、大杉の後継者というよりはイチローを追いかけた存在といえそうだ。左腕の歌藤達夫を挟んで08年に「51」を継承した村田和哉もイチローと同じ左打者の外野手で、やはり俊足を誇るなど、共通点も多かった。

 一方で、「51」が打者の出世ナンバーとなっているチームは複数あれど、投手も出世ナンバーとしているのが日本ハムだ。チームが東映となって2年目の55年に、大杉と同じくテストを受けて入団して1年だけ「51」を背負ったのが土橋正幸。「48」の2年間を経て「21」で62年にチームを初のリーグ優勝、日本一に導いた右腕だが、「51」では勝ち星なし。球速はあったが制球力が悪く、外野フェンスに向かって1人で黙々とボールを投げ続けて、克服に励んでいた時期だ。

 その60年後。ドラフト4位で2015年に入団して、現在まで「51」を背負うのが石川直也だ。3年目の17年に頭角を現した右のリリーバー。20年からは故障に苦しむが、復活の日は遠くないはずだ。

【日本ハム】主な背番号51の選手
土橋正幸(1955)
大杉勝男(1965〜72、74)
小田智之(1998〜2006)
村田和哉(2008〜14)
石川直也(2015〜)

文=犬企画マンホール 写真=BBM

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