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初スタメンで黒星も…巨人・小林誠司に「守備面は球界屈指の捕手」と再評価の声が

 

相手に脅威を与える強肩は健在


6月6日の日本ハム戦で今季初スタメンを果たした小林


 巨人小林誠司が扇の要に戻ってきた。6月6日の日本ハム戦(東京ドーム)で今季初の先発マスクをかぶり、初回の守備では俊足が武器のドラフト2位・五十幡亮汰の二盗を強肩で一度は阻止。日本ハム・栗山英樹監督のリクエストで審判団がリプレー検証を行い、判定が覆ってセーフとなったが、捕球してから素早いスローイングで正確な送球、強肩が健在であることをアピールした。

 この試合では右ヒジ違和感で戦線離脱していたエース・菅野智之投手と昨季開幕戦の6月19日の阪神戦(東京ドーム)以来352日ぶりにバッテリーを組んだ。菅野は5回2失点で今季3敗目。小林も菅野と同時に6回の守備から退いた。
 
 他球団のスコアラーはこう分析する。

「あらためていい捕手だなと思いましたね。五十幡の盗塁は間一髪でセーフになりましたが、あの肩を見せられたらなかなか盗塁を仕掛けられない。配球面を含め、故障明けの菅野をうまくリードしていた。守備の水準だけで言えば球界屈指のレベルでしょう」

 小林にとっては出場する1試合1試合が大きな意味を持つ。2016年から4年連続盗塁阻止率リーグトップをマークするなど強肩を武器に正捕手として活躍してきたが、原監督就任した19年以降は年々、出場機会を減らしている。昨年は開幕3戦目に左手首に死球を受けて左尺骨を骨折して長期離脱。9月中旬に一軍復帰したが、大城卓三が正捕手を務め、小林は打撃不振もあり10月18日から二軍で再調整となった。一軍出場は10試合にとどまり、打率.056、0本塁打。ファームでも捕球の際に負傷し、右手示指末節骨骨折で日本シリーズの登録メンバー漏れ。度重なる故障で悔しい思いをした。

必要なのは打撃力向上


ベンチで並んで座る菅野(左)、小林


 広島、巨人で現役時代にプレーし、巨人投手コーチ時代に小林とともにユニフォームを着た野球評論家の川口和久氏は昨年9月に週刊ベールボールのコラムで、このようなメッセージを送っている。

「俺は今、誠司は思い切った発想の転換が求められていると思う。バッター・小林を磨くことだ。今の巨人は独走状態。小林を一軍に上げることはあるだろうが、『待ってたぞ、誠司!』にはならないだろう。ならば、ファームでじっくり打撃を鍛え、来年に備えてもいいんじゃないかな。31歳が遅いというかもしれないが、俺はそうは思わない。カープ時代の高橋慶彦さんを見ているからだ。プロ9年目、26歳で思い切ったモデルチェンジを果たした人だ。慶彦さんは投手で入団し、内野手に転向。スイッチヒッターを死ぬ気になって磨き、79年には33試合連続安打の日本記録をつくった。自分の立ち位置みたいなものは確保したわけだ。

 当時の慶彦さんは、左は特に上からたたきつけるダウンスイングで、はっきり言えば、ボテボテでも足を生かし、ヒットにしていた。ただ内心、このままだと終わってしまうという危機感があったらしい。足が速いうちはいいが、年齢で足が衰えたら、どうすりゃいいんだって。このとき出会ったのが、山内一弘さんだ。慶彦さんは、山内さんと一緒に根本からスイングを作り直した。ダウンスイングからへその回りで平行に振る、いわゆる、へそ打ち打法に変えた。狭い広島市民もあってだが、これでホームラン激増した。

 誠司に関しては、あいつが入ってきたころから知っている。いいやつだし、応援したいんだ。誠司、二軍には阿部慎之助もいる。ここは騙されたと思って打撃を鍛え、打てるキャッチャーになって帰ってこいよ。原監督を見返してやれ!」

 小林が正捕手に返り咲くために、必要なのは打撃面での向上だ。今季はファームで24試合出場し、打率.115、0本塁打と結果を出しているわけではない。大城、炭谷銀仁朗、ファームに控える岸田行倫とライバルは多いが、攻守で結果を出して首脳陣の信頼を勝ち取りたい。

写真=BBM
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