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楽天・田中将大は今季2勝も安定感抜群 他球団007「ゲームメーク能力は球界No.1」

 

調子が悪いときでも崩れない


6月5日の広島戦でも粘りのピッチングを見せた田中将


 8年ぶりに日本球界に復帰した楽天田中将大。自身が24勝0敗と驚異的な数字をマークした2013年以来のリーグ優勝に向けて期待が高まっている中、剛速球を武器に力でねじ伏せる投球スタイルから一転、多彩な変化球をまじえた「大人の投球」できっちり試合をつくっている。今季8試合登板で2勝3敗、防御率2.77。打線の援護に恵まれず白星は伸びていないが、7試合で6回以上を投げ切り、6試合で3失点以下に抑えている。

「全盛期の直球の強さは見られないが、変化球をきっちり低めに投げ分けるので大崩れしない。手も足も出ないというわけではないが、うまくかわされている。ゲームメーク能力は球界No.1だと思います。直球も投げるたびに良くなっているので、またピッチングスタイルが変化する可能性がある。要警戒ですね」(他球団のスコアラー)

 調子が悪いときでも崩れず、我慢の投球で試合をつくる技術を兼ね備えているのは良い投手の証ともいえる。今月5日の広島戦(マツダ広島)では序盤に2点を失い、6回も林晃汰にソロを被弾。2点差にリードを広げられ、さらに一死一、二塁のピンチを招いたがここで踏ん張った。森下暢仁を139キロのスプリットで犠打失敗に切り抜け、菊池涼介を真ん中高めの148キロ直球で右飛に仕留めた。チームは打線が終盤に大量得点で7対3と逆転勝ちを収めた。

 田中将は登板後に自身のYouTubeで、「ゲームにアジャストするために投球フォームだったり、ボールの使い方だったり、自分なりに工夫しながら自分にかかるストレスも大きかったので、今日はゲームが終わってからしんどいと感じました」と振り返り、「ゲーム展開を自分でしんどくしてしまった。でも、とにかくチームが勝てて良かった。貢献できたとは言わないですけど自分が投げた試合で勝つことができて良かったです。6回3失点でまとまりましたけど内容的にはもっと点を取られていてもおかしくない。いい当たりが正面だったり、いい守備に助けられたりということが多々あった。周りの人に助けられながら今日のゲームは乗り切れた」と反省を口にした。

 試行錯誤を重ねる苦心の投球だったが、6回を最少失点で切り抜けなければ、広島の一方的な試合展開になる可能性があった。田中将の粘投が引き出した逆転勝利と言ってもよいだろう。

真っすぐの球威がもう少し戻れば


 野球評論家の立浪和義氏も週刊ベースボールのコラムで田中将の投球を評価している。

「長年、メジャーのパワフルなバッターを相手にしてきただけに、制球力、特に低めの変化球の精度は渡米前より磨かれていると思います。四球が少ないうえに、スプリット、スライダーをきっちりと長打の出にくいところに投げ込み、大崩れはまずないだろう、というピッチングをしています。もともと試合の中での力配分がうまいタイプではありました。逆に時々、相手バッターの情報不足、メジャーとのボールの違いや球場の大きさの感覚のズレがあるのか、不用意な球になっていることもあるようです。そのあたりの修正に加え、情報も試合ごとに更新しているはずですから、真っすぐの球威がもう少し戻ってくれば、再び手がつけられない状態になっていくかもしれません」

 首位を快走している楽天で、田中が勝負の夏場に向けてどのような投球を見せるか楽しみだ。

写真=BBM
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