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大学野球リポート

一部で残念なシーン…大学野球にホームランパフォーマンスの「カメラ目線」は必要ない

 

大学野球は「教育活動の一環」


「大学野球日本一」を決める全日本大学選手権は6月7日から神宮球場、東京ドームで開催されている。決勝は13日に予定されている


 第70回全日本大学野球選手権記念大会は6月10日までに、4強が出そろった。11日は休養日。12日が準決勝、13日が決勝と、大学日本一が決まるまで、残り3試合である。

 昨年はコロナ禍により、第1回大会(1952年)から続いてきた大会は史上初の中止。今年は2年ぶりの開催で熱戦が展開されているが、一部で残念なシーンがあった。

 本塁打を放った際の行動である。ベンチ横には、テレビカメラが配置されている。打者がダイヤモンドを一周して生還すると、ベンチのメンバーが出迎える。その後、打者に加え、複数の選手がカメラ目線で、歓喜のポーズを披露したのである。目に余るものだった。

 プロ野球ではよく、見られる光景だ。プロは興行であり、ファンサービスの意味合いもあるだろう。一方、大学野球は日本学生野球憲章にもあるように「教育活動の一環」である。つまり、華美な行動は必要ない。喜びたい気持ちはよく、分かる。さまざまな事情で観戦できない家族や学校関係者らへ、カメラ目線で喜びを届けたい意図があったのかもしれない。しかし、マナーの観点からも、その形は、しっかりと場をわきまえなければならない。

 運営に携わる大会役員、審判員、そして、相手がいて初めて試合が成立する。今春は新型コロナウイルスの影響で、リーグ戦出場辞退により、大学選手権への道が閉ざされたチームも数多くあった。対戦校へのリスペクト、感染症予防対策ガイドライン下で、今大会に出場している意味を考えれば、身勝手な行動はできないはずだ。

 ホームランパフォーマンスは、学生野球には不要だ。目の前の戦いに集中してほしい。意図的な行動ではなく、無我夢中の全力プレーで勇気、感動は十分、視聴者に届くはずだ。

文=岡本朋祐 写真=矢野寿明
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