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背番号物語

【背番号物語】オリックス「#4」交流戦Vに貢献した4年目の福田周平。外国人は長いが日本人は短い系譜?

 

阪急には初優勝の使者となった韋駄天が


一番として打線を牽引して交流戦優勝に貢献した福田


 戦後の巨人でプロ野球で最初に永久欠番となった「4」は、メジャーでも永久欠番の第1号。日本では読みが“死”に通じることから忌まれることもあるが、日本語の読みなど関係がない助っ人には栄光のナンバーとして好まれる傾向が一般的だ。オリックスの系譜でも前身の阪急から印象的な助っ人が並んでいる。一方で、現在の「4」は、はドラフト3位で2018年に入団した福田周平が背負う。1年目から「4」で即戦力となり、21年はチーム2度目の交流戦Vに大きく貢献した福田だが、阪急にも1年目から「4」を背負ってレギュラーとなり、チームを初のリーグ優勝に導いた韋駄天がいた。

 謙遜もあるのかもしれないが、「力はないし、そんなに足も速くない。肩も弱かった」と自らを分析するのが阪本敏三だ。ドラフト制度が導入されて2年目は指名が2度にわたり、その二次ドラフトの5位で指名されて1967年に入団。オープン戦の勝負強い打撃で注目され、開幕一軍を勝ち取った。身長170センチとプロ野球選手としては小柄で、立命大では関西六大学リーグ7シーズン連続で盗塁王の実績も、本塁打はゼロ。それが初スタメンの試合でプロ初安打を本塁打で飾ると、そのまま遊撃のレギュラーに定着する。

阪急をリーグ3連覇に導く活躍を見せた阪本


 この1年目は最終的に9本塁打の9盗塁だったが、2年目の68年は50盗塁と急増。翌69年には47盗塁で盗塁王に輝いて阪急をリーグ3連覇へと引っ張っていく。遊撃守備では肩の弱さをカバーするべく大胆なポジショニングを見せた。71年には15本塁打、36盗塁、リーグ最多の23犠打でV奪還に貢献も、巨人との日本シリーズでポジショニングが裏目に出る場面もあり、オフに東映(現在の日本ハム)へと放出される。結果を残しながらも、日本人選手であろうと長い期間にわたらないのも系譜の特徴といえる。

 阪急としての最後のリーグ優勝は84年だが、このときの「4」だった水谷実雄も、わずか3年と短期間だ。広島で78年に首位打者を経験している水谷は、83年に移籍した阪急でも引き続き「4」を背負い、1年目から自己最多の36本塁打、114打点の大爆発で打点王に。だが、迎えた84年は開幕戦で頭部に死球を受けるアクシデント。その影響もあって、続く85年が現役ラストイヤーとなっている。

 一方で、最長はチームがオリックスとなって2年目の90年に背負った松山秀明の9年間だ。現役生活で一貫して「4」だった松山だが、シーズン出場はオリックスとして初のリーグ優勝を飾った95年の46試合が最多。そのままリーグ連覇、日本一も経験したが、レギュラー定着は果たせず。それでもチームに残って指導者の道へ進み、現在はソフトバンクで若手の育成に力を注いでいる。日本人の選手で2番目に長いのが56年から61年の岡田豊で、やはりレギュラーはならなかったが、60年に自己最多の49試合に出場した捕手。系譜を戦後の1リーグ時代にまでさかのぼると、プロ野球が始まった36年からプレーして、戦前は投手としても活躍していたが、44年に阪急へ移籍してきてからは捕手がメーンとなった野口明が「4」の2代目となっている。

黄金時代の助っ人が歴代2位


阪急黄金時代を支えた助っ人のマルカーノ


 短い期間で印象を残した日本人の選手と対照的に、助っ人の「4」は外国人の選手としては長期間にわたっている。阪本と水谷の間で、松山に次ぐ歴代2位の8年間「4」でプレーしたのがマルカーノだ。75年に入団して阪急を初の日本一に導き、黄金時代を支えた二塁手で、78年に94打点で打点王、翌79年には自己最多の32本塁打、97打点。陽気な性格で、ムードメーカーとしてもチームに欠かせない存在だった。

 マルカーノの前に1年だけ着けていたのはロベルト・バルボンで、現役時代は「8」が長かったが、岡田の引退で62年に「4」へと変更。やはり陽気な助っ人だったが、65年に近鉄へ移籍している。21世紀にニックネームがバファローズとなり、近鉄でプレーしていた内野手の阿部真宏が「4」を着けたが、2010年に阿部が西武へ移籍してからは助っ人の短期間リレー。その後継者となったのが福田だが、歴代の最長を更新する可能性も少なくなさそうだ。

【オリックス】主な背番号4の選手
バルボン(1962〜64、74)
阪本敏三(1967〜71)
マルカーノ(1975〜82)
水谷実雄(1983〜85)
福田周平(2018〜)

文=犬企画マンホール 写真=BBM
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