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アメリカから電撃復帰の巨人・山口俊「逆転優勝のキーマン」の起用法は先発? 抑え?

 

アメリカでは結果を残せず


過去に2017年から19年まで巨人に在籍していた山口


 6月11日、MLBジャイアンツ傘下3Aサクラメントを自由契約になった山口俊がオンラインで巨人入団会見を行った。2019年以来2年ぶりの巨人復帰となる山口は「優勝が一番の目標です。何とかその力になれるようにやっていきたい」と決意を語った。

 現在の巨人の投手事情を考えると、心強い戦力になるだろう。19年に15勝4敗、防御率2.91で最多勝、最高勝率(.789)、最多奪三振(188)で5年ぶりのリーグ優勝の立役者になった。同年オフにポスティングシステムでブルージェイズに入団し、昨年は17試合登板で2勝4敗、防御率8.06。今年2月に1年の契約を残してブルージェイズを戦力外となり、ジャイアンツとマイナー契約を結び、メジャー昇格を目指していたが叶わなかった。3Aで5試合登板し、0勝3敗、防御率6.18。山口は今月2日に自身のインスタグラムで、「夢を追ってメジャーに挑戦しましたが、力及ばずシーズン途中での帰国となります。昨シーズンから続く様々な制約や厳しい規制がある中、自分なりに精一杯の努力を続けたことは誇りですし、必ず今後の糧にしなければなりません」とシーズン途中で日本球界復帰を決断したことを明かしていた。

 アメリカでは思うような活躍ができなかった。野球評論家の川口和久氏はその原因について、週刊ベースボールのコラムで言及。「日本、アメリカにかかわらず、結果が出せるかどうかは入団したチームの状態や起用法などの運もある。加えてメジャーに関しては、投手としての能力だけではなく、結構、はまる、はまらないタイプがある。山口の場合、日本球界での評価は、球が速いのに制球が安定している、だったが、日本のバッターが速いと感じた真っすぐが、向こうでは普通だったことで、制球の良さが逆に球を絞りやすくしたとも考えられる。あとはメジャーの硬いマウンドや滑る球にアジャストできなかったこともあったかもしれない」と分析している。

 巨人に復帰して注目されるのが起用法だ。山口は先発としてだけでなく、救援でも十分な実績がある。DeNA在籍時は守護神を務め、10、11年と2年連続30セーブ以上をマーク。12年も60試合登板で22セーブ、防御率1.74と抜群の安定感を誇った。身長188センチと恵まれた体格から快速球を投げ込むが、変化球が多彩で制球力も良いため四球で大崩れする心配がない。スプリット、スライダーで三振奪取能力が高いのも大きな武器だ。

先発陣、救援陣に課題が


 交流戦で首位・阪神との差を広げられている巨人は先発陣、救援陣ともに課題を抱える。エース・菅野智之が右ヒジの違和感から復帰したばかりで無理をさせられない。高橋優貴は4月に5勝0敗、防御率1.80と最高のスタートを切ったが、5月以降は6試合登板で1勝のみ。今月10日のオリックス戦(京セラドーム)は7回で今季ワーストの6失点と痛打を浴びて2敗目を喫した。戸郷翔征サンチェスも防御率4点台と安定感を欠く。

 先発陣がピリッとしないため、救援陣にしわ寄せがきて登板過多になっている。セットアッパーの中川皓太は本来の直球のキレを欠き、31試合登板で2勝2敗1セーブ14ホールド、防御率3.64。昨年は37試合登板で防御率1.00と圧倒的な投球を見せていただけに、心配だ。また、守護神・デラロサも今月2日に左脚の違和感で登録抹消された。勝利の方程式が確立できない状況に原監督の頭も痛いだろう。

 スタミナ抜群の山口は先発で長いイニングを投げられるし、経験豊富な抑えに抜擢される可能性も十分に考えられる。梶谷隆幸吉川尚輝が故障で戦線離脱し、丸佳浩も打撃不振で登録抹消の緊急事態で、白星を重ねるには投手力がカギを握る。山口はこの危機を救えるか。

写真=BBM
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