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投打のピースを埋め交流戦Vでパ3位浮上のオリックス。リーグ戦再開後も快進撃の予感

 

一番・福田が好機を演出


一番に定着して打線に勢いをつけた福田


 そのコールが連日続いた。本拠地・京セラドームで勝利を飾れば、試合終了と同時に響く「ビクトリー」のアナウンス。交流戦開幕カードのDeNA戦こそ1勝2敗と負け越すも、以降の全カードは勝ち越し。すべて本拠地で戦った最終週は巨人に2勝1分で借金を完済すると、広島には3タテと前週から1分を挟んで6連勝で貯金生活へ。6月12日の勝利で、2010年以来となる11年ぶり2度目の交流戦優勝も決めた。

 8度、5割復帰をかけた試合に挑みながらも、いずれも黒星で開幕から続いた借金生活。負の連鎖を断ち切り、躍進を呼んだのは、固定できなかった3つのポジションが埋まったことにある。

 1つは一番打者だ。佐野皓大安達了一らを起用するも固定できず。ハイアベレージの吉田正尚を三番に据えながらも、チャンスメークできずに得点力が上がらなかったが、福田周平が一軍昇格した5月11日以降は、その役割を果たしている。交流戦でも17試合でリードオフマンを務め、打率.388で出塁率.488。6日の中日戦(バンテリン)では16球粘った末に適時打を放つなど“イヤらしさ”に“勝負強さ”を併せ持ち、打線を活気づけた。

 好機をモノにする中軸も奮闘。それが2つめのポジションだ。“吉田正頼み”と揶揄され続けた打線だが、その吉田正、パンチ力抜群の杉本裕太郎のバットが湿っても、T-岡田が復調し、交流戦打率は.364、3本塁打、12打点。9日の巨人戦(京セラドーム)からは4試合連続で四番に座り、状態や相手先発投手によっての“日替わり打線”で誰かに頼ることなく、得点力がアップ。13日の広島戦(同)ではサヨナラ打を放つなど、ポイントゲッターが増えれば打線の厚みが増すのは必然だ。「ピッチャーを援護できない試合が多かったので」と、背番号55の復調が、打線に好影響を与えたのは言うまでもない。

 打線に厚みが増し、ジョーンズスティーブン・モヤの“助っ人コンビ”もベンチスタートになることが増え、中盤以降の勝負どころで代打起用できたのも大きい。現にジョーンズの交流戦代打打率は1.000、モヤは.333。勝負を避けられ2人で計3四球も得るなど、厚みが増した選手層は劣勢の試合展開を跳ね返す力にもなった。

救援陣も主力が復帰


抑えも平野が復帰して固定できるようになったのは大きい


 リードを奪えば逃げ切りへ。ここが交流戦の躍進を呼んだ3つめのポジションだ。セットアッパー、抑えも流動的で終盤の逆転負けも多かったが、5月28日ヒギンスが腰痛から復帰するとセットアッパーとして7試合連続無失点。クローザーもベテラン・平野佳寿が5月30日に頸部痛から復帰し、6試合無失点で4セーブとブルペンも固まった。

 ただ「目指しているのは、そこじゃない」と中嶋聡監督。交流戦優勝を決めても「とてもいいことですが、まだまだ試合は続きますから」と見据えるのはリーグの頂点。だからこそ、勝って兜の緒を締める。交流戦の最終戦。3点リードの9回は、連投のため休養日の平野佳に代わってK-鈴木が登板して同点に。T-岡田のサヨナラ打で勝利したとはいえ、「すんなり終わらないといけない」と指揮官は表情を曇らせた。

 それでも、パ6球団で交流戦を勝ち越したのは、オリックスと勝ち越し1の楽天西武のみ(14日時点)。貯金7のオリックスの“1人勝ち”状態で、リーグ順位も首位・楽天と2ゲーム差の3位に浮上した。リーグ戦は18日から敵地で、その楽天との3連戦で再開。交流戦Vが勢いだけではないことを証明するには絶好の相手だ。11年ぶりの交流戦制覇を反撃のノロシとし、パを相手にも進撃する。

写真=BBM
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