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広島・小園海斗がブレークの予感 他球団007「タイミングの取り方が天才的」

 

アジャストが巧みな打撃


急成長した打撃でレギュラーをつかみつつある小園


 5位に低迷する広島でブレークの雰囲気を漂わせているのが小園海斗だ。

 遊撃のレギュラーをつかみつつある。今年の春季キャンプでは二軍スタートだったが、不動の遊撃として活躍してきた田中広輔の打撃不振でチャンスが巡ってくる。4月22日に一軍昇格すると、「八番・遊撃」でスタメンに即抜擢された同日のヤクルト戦(マツダ広島)で2回に右前に抜ける同点適時打を放つ。5月中旬に新型コロナウイルスのPCR検査で陽性反応が出て戦線離脱したが、今月4日の交流戦・楽天戦(マツダ広島)から復帰すると3試合連続マルチ安打をマーク。12日のオリックス戦(京セラドーム)で今季8度目のマルチ安打を記録すると、翌13日の同戦で自身初の三番に抜擢される。2回二死一、三塁で増井浩俊のフォークボールをはじき返して一塁線を破る適時二塁打を放つなど猛打賞3打点の活躍で首脳陣の期待に応えた。

 他球団のスコアラーは小園について、「タイミングの取り方が天才的」と評価する。

「入団してからノーステップなどいろいろ試みていましたが、変化球にアジャストするのがうまいし、直球も力強く引っ張れる。ミート能力が高く、追い込まれてもファウルでカットしてなかなか空振りが取れない。広角に安打が打てるので3割を超えるハイアベレージを残していることに驚きはないですね」

 高卒3年目の成長株は紆余曲折を経て、現在に至る。報徳学園高では攻守走3拍子そろった遊撃手として、ドラフト1位で4球団が競合。広島が交渉権を獲得した。高卒1年目では史上2人目となるオープン戦で複数アーチを放つなど非凡な打撃センスを見せ、シーズンでも58試合出場で打率.213、4本塁打、16打点をマーク。中日根尾昂ロッテ藤原恭大ら同世代の中で最も早く頭角を現した。

 しかし、2年目はオープン戦、練習試合と思うような結果が残せず、開幕直前にファーム降格。ウエスタン・リーグでも打率1割台が続く日々だったが、8月下旬から9月上旬に行った大野練習場での残留練習が大きな転機になった。遠征には帯同せず、森笠繁二軍打撃コーチとマンツーマンで打撃練習に打ち込むと、「肩が開きがちだったので、それが徐々に減ってきて良い方向にいっている。しっかりと軸で打てるようになってきたと思います」と手応えをつかんだ。9月の月間打率は.413、10月も.423と見違えるような打撃でアピールし、10月に一軍に昇格。3試合出場で6打数無安打と結果は残せなかったが、大きな糧になった年になった。

守備でも見せる成長の跡


 今季は好調の打撃に加え、守備でも遊撃のほか、試合途中から二塁、三塁を守り計3失策と成長の跡を見せている。広い守備範囲で高校No.1遊撃手の触れ込みだったが、プロ1年目は6月に3試合連続計4失策を喫するなどミスを連発。2週間も経たず二軍に逆戻りした苦い経験がある。高校生とプロでは打球の速さも勢いも変わる。入団当初は粗さが目立ったが、練習や実戦経験を積むことで改善されるように。今や攻守で不可欠な存在になっている。

 チームが苦しんでいる時こそ、若い力が必要になる。交流戦は3勝11敗3分と大きく負け越して最下位に沈んだが、まだペナントレースは半分も終わっていない。覚醒した小園が逆襲のキーマンになる。

写真=BBM
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