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巨人が“独走”阪神追い上げに戦力整備。山口俊は救世主となるか?

 

間違いなく戦力


巨人復帰が決まった山口俊。写真はMLBジャイアンツ・マイナーでのもの


 セ・リーグ首位を走る阪神を追い上げるため、原辰徳監督が得意とする交流戦(原監督下では12シーズンで勝ち越し8度、イーブン2度)でその差を少しでも縮めておく必要があった。しかし、終わってみれば、勝率5割で迎えた最終戦(対ロッテ、ZOZOマリン)にエース・菅野智之を立てながらも4対5で敗れ、高橋由伸監督時代の2018年以来、3年ぶりの交流戦負け越し(7勝8敗3分)。阪神とのゲーム差は「7」に広がった。指揮官は18試合の戦いを終え、「チーム状況というものが、毎試合毎試合(違う)という中、結果として出た。(今後に向けては)チーム状況をコーチ陣も含めて考え、向かって行くというところ」と唇をかんだ。

 チーム状況が毎試合異なる理由は、野戦病院と化しているから。他球団と比較しても、今季の巨人は度が過ぎている。野手ではロッテとの最終カードで坂本勇人が骨折から約1カ月ぶりに復帰したものの、交流戦開幕から15試合を攻守の要であるキャプテン抜きで戦わなければならなかった。その坂本が復帰する前日には、打率3割をキープしていた吉川尚輝が死球で骨折。オフにDeNAから移籍加入の梶谷隆幸も交流戦直前に負った左太もも裏の違和感で交流戦を全休した。丸佳浩の場合は打撃不振による二軍調整だが、本来は絶対的なレギュラーである彼らの不在は、「飛車角落ち」という言葉だけでは事足らない。

 一方の投手陣では大竹寛野上亮磨高木京介らキャリアのあるリリーフ陣がいまだ二軍調整中。しかし、先発陣に限って言えば、右ヒジの違和感を訴え、約1カ月の離脱となった菅野智之が6月6日の日本ハム戦(東京ドーム)で復帰。昨年10月に左ヒジのクリーニング手術を受けたC.C.メルセデスも交流戦期間中に初登板から2勝を挙げるなど、戸郷翔征高橋優貴、A.サンチェス今村信貴と、再整備が進みつつある。

 ここに新たな戦力も加わる。19年まで巨人に在籍し、20年はポスティングで移籍したMLBのブルージェイズでプレー。今年2月に戦力外となり、MLBジャイアンツとマイナー契約を結ぶも、メジャー昇格が叶わず、日本球界復帰を表明していた山口俊だ。球団は2月にブルージェイズを戦力外となった段階から獲得に向けて動いていたが、このときは山口の「もう少しアメリカで夢を追いたい」という気持ちを尊重し、断念していたが、帰国決断を機に、交渉を再開していた。

 6月11日、隔離期間中のためオンラインで会見を行った山口は、「結果しかない」と意気込みを示している。原監督からは先発として期待されているが、横浜時代はクローザー経験もあり、復帰から2戦2敗の菅野の状態なども考慮しつつ、配置されることに。隔離期間を終えればまずファームに合流となるが、「肩ヒジは万全。先発であればローテーション、リリーフならば登板数をしっかり投げたい」と頼もしい。新型コロナ禍で海外に補強を求めることが難しい中、考え得る中では最高の補強。阪神追い上げのキーマンとなる。

写真=Getty Images
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