交流戦が終わり、今日からリーグ戦が再開される。ペナント奪取へ、ここからの戦いが重要になってくるが、果たして優勝への秘策はあるのか。セ・リーグ6球団の現時点での戦力を見ていこう。 ※記録は6月17日現在 読売ジャイアンツ
2位・巨人
ショッキングなニュースが飛び込んできた。主に
岡本和真の後の五番を打ち、34試合で7本塁打のJ.
スモークが本人の強い希望で、6月17日をもって退団。新型コロナ禍で家族が来日できなかったことが理由だが、合流からまずまず日本の野球にもフィットしていた強打者の離脱は大きな痛手と言える。とはいえ、不調だった
丸佳浩が二軍調整を経てリーグ戦再開から一軍合流。故障で交流戦を全休した梶谷隆幸の復帰も目前で、ようやくメーンキャストがそろう。投手陣では、紆余曲折を経て先発陣の整備が進んでいる。16日に再調整のため登録抹消となった
菅野智之が心配だが、最短10日での復帰が見込まれる。ここに
山口俊を獲得しており、状況次第で先発、リリーフとどちらにも起用が可能。
阪神との7ゲーム差は厳しい数字だが、一つひとつその距離を縮めていく。
阪神タイガース
1位・阪神
交流戦2位、6連勝でフィニッシュした阪神。セ・リーグでは2位・巨人に7ゲーム差をつけているが直接対決で、リーグ戦再開となる。ラクな気持ちで戦いに臨めるだろうが、不安がないわけではない。交流戦では中継ぎに疲れが見えた。セットアッパーの
岩崎優が打ち込まれ二軍降格で再調整に。
岩貞祐太も防御率5.21と苦しい状況で交流戦終盤に藤浪晋太郎をセットアッパーに起用しハマった。ここに岩崎が帰ってくればダブルセットアッパーを組めるが、2人とも投げてみないと分からない部分があり、不安は残る。打撃では二番に入っている新人・
中野拓夢がいい働きをしており、一番・
近本光司と2人で計25盗塁は相手にとっては驚異。チームの雰囲気は、貯金20で巨人と7ゲーム差と余裕がある中で、毎試合全力で取り組む姿勢は変わらない。
東京ヤクルトスワローズ
2位・ヤクルト
交流戦は10勝8敗で勝ち越し、リーグ順位も巨人に並ぶ2位に浮上。チームの雰囲気は良く、「2年連続最下位からの脱出」や「Aクラス入り」よりも、「優勝」への機運が高まっていると言える。ここまでフル回転してきた中継ぎ陣は、
石山泰稚の不調や
近藤弘樹の離脱が心配だが、
小川泰弘や石川雅規ら先発陣の健闘が光る。
山田哲人と
村上宗隆の両主軸が交流戦だけでともに7本塁打など、打線は心配なし。
青木宣親も調子を上げており、好投する先発陣を打線が援護し、少ない継投でリードを守り抜く戦いがしたい。今のヤクルトなら、投打の歯車がガッチリかみ合うはずだ。
中日ドラゴンズ
4位・中日
チームのストロングポイントとウィークポイントは今さら説明するまでもない。最大の武器は投手力。それは12球団トップの防御率3.04が示している。間もなく絶対的な守護神の
R.マルティネスも戻ってくるから、より強固になるはずだ。そして課題は圧倒的な攻撃力不足。強肩の
加藤匠馬捕手を手放し、
ロッテから
加藤翔平外野手を獲得したのもそのためだ。大量得点は望めない。投手陣を前面に押し出した戦いでロースコアに持ち込み、少ないチャンスをものにして僅差で逃げ切るのが勝ちパターン。そのために必要なのは先発陣の踏ん張り、そしてここぞの1本だ。四球に犠打、盗塁を絡めて貪欲に1点を奪いにいく野球を徹底していきたい。
横浜DeNAベイスターズ
5位・DeNA
交流戦後、球団は補強に動いた。ロッテから先発候補として
有吉優樹をリリーフの
国吉佑樹とのトレードで獲得。手薄となる中継ぎには、トミー・ジョン手術からの復帰を目指していた
田中健二朗を支配下登録して、ブルペンの活性化を図った。とはいえ、有吉はファームでの調整を経てから一軍昇格となる予定で、先発投手の不足は深刻だ。攻撃陣はケガが心配された
オースティンも復帰予定で、心配は少ない。やはりチームの浮上は先発が試合をつくれるかにかかってくる。現時点で濱口遥大、
今永昇太の2本柱に続くのが
坂本裕哉、
ピープルズ。ファームで調整を続ける
大貫晋一、
上茶谷大河、
阪口皓亮の復調が待たれる。
広島東洋カープ
6位・広島
交流戦は先発投手が0勝で3勝12敗3分の最下位と惨敗。5月半ばにチームを襲ったコロナ禍の影響もあり、選手も一、二軍を入れ替えながらとっかえひっかえの状態になっており、一度、コロナ禍を機に力を出してきた若手とこれまでのレギュラー陣をどう組み合わせるかを整理して形を組み直し、チームを落ち着かせる必要があるだろう。投手陣は、先発では交流戦で可能性を見せた
大道温貴、救援では
コルニエルの起用法がカギか。攻撃では、小園海斗の頑張りと
西川龍馬の復調具合にかかる三番打者の出来がポイント。守備では
會澤翼の故障を受け、若い捕手陣が落ち着いてチームを引っ張れるか。急造外野手に目立つ守備のミスも防いでいきたい。
写真=BBM