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巨人・松原聖弥は使い続けるべき? 「将来の首位打者候補」と高評価の声も

 

素晴らしいコンタクト率



 打撃不振でファームに降格していた巨人・丸佳浩外野手が6月18日の阪神戦(甲子園)から一軍復帰した。左太もも裏の違和感で離脱中だった梶谷隆幸も二軍で実戦復帰し、一軍昇格も近い。そこで気になるのが松原聖弥の起用法だ。

 広い守備範囲と強肩の外野守備に定評があり、打撃でもリードオフマンとして牽引。6月は18日現在、月間打率.316、2本塁打、3打点と好調を維持している。交流戦でも8日のオリックス戦(京セラドーム)で初回に右翼席へ先制アーチを放つと、1点差を追いかける9回二死二塁の好機でも中越え適時三塁打。引き分けに持ち込む殊勲打でチームを救った。12日のロッテ戦(ZOZOマリン)でも初回に中越え二塁打、3回も先頭打者で右前打を放ち打者一巡で7得点の口火を切る。相手先発・美馬学を試合序盤に早々とマウンドから下ろし、11対4で快勝した。

 他球団の首脳陣は松原についてこう分析する。

「コンタクト率が高くて難しい球を安打にする。甘く入ると一発もあるので神経を使います。当てるのがうまいのでボール球に手を出してしまう場面が見られるが、選球眼も昨年に比べて良くなっている。将来は首位打者を獲得できる可能性を十分に秘めた選手だと思います」

 松原はエリート街道を歩んできたわけではない。仙台育英高で3年夏はベンチ入りできず、スタンドから応援した。明星大で内野から外野に守備位置を変え、2年春から5季連続ベストナインを獲得した活躍がスカウトの目に留まり、育成5巡目で巨人に入団。楽天育成2巡目で指名された南要輔とともに同大で初のプロ野球選手だった。

 1年目の2017年に三軍戦で100試合に出場し、打率.332、1本塁打、45盗塁と際立った成績を残すと、翌18年にリーグトップの打率.316、イースタン新記録の134安打を放つ。同年7月に支配下昇格され、背番号は「009」から「59」に。昨年7月に一軍デビューしてプロ初出場を果たすと、8月後半から「二番・右翼」のスタメンに定着し、86試合出場で打率.263、3本塁打、12盗塁。攻守走で野球センスの高さを示し、原辰徳監督に「天才的に野球をやる方」とうならせた。松原と同様に育成枠で入団し、09年に新人王を獲得したあこがれの松本哲也(現巨人二軍野手総合コーチ)の背番号「31」を今年から継承している。

 今季は丸が新型コロナウイルスに感染して戦線離脱した4月に「一番・中堅」で打線を引っ張った。丸が復帰後はベンチを温める機会が増えたが、5月下旬に梶谷が負傷で離脱すると右翼でスタメンの出場機会が巡ってくる。丸が打撃不振でファーム降格すると、再び中堅に。主力の不在を補って余りある活躍を見せている。

立浪氏が修正能力の高さに言及


 野球評論家の立浪和義氏は週刊ベースボールのコラムで、松原の修正能力の高さに言及している。

「身長173センチと上背はなく、線も細い印象がありますが、ミート力に加え、振る力もあります。意外とパンチ力があり、かつ広角に打てる器用なタイプです。以前、東京ドームのテレビ中継で松原選手を見て、バックスイングに入ったときに右肩がベース側に少し入っていたので、『これではバットが出にくいのでは』と解説したことがあります。それを誰かから聞いたのか、自分で感じたのかは分かりませんが、次に見たときは直っていて驚いたことがあります。ちょっとしたことなのですが、一連のフォームの流れの中で、体が無意識に動いているものを修正するのは、実は簡単ではありません」

 常勝を義務付けられ、毎年のように即戦力の選手を獲得する巨人はレギュラー争いが厳しい。丸、梶谷が復帰後も外野の定位置を死守できるか。プロ入団後に階段を一気に駆け上がってきたが、松原の真価が問われるのはこれからだ。

写真=BBM
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