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ベースボールゼミナール

坂本勇人も取り入れているロングティーの効果と目的は?/元ソフトバンク・柴原洋に聞く

 

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は打撃編。回答者は現役時代に巧打の選手として活躍した、元ソフトバンク柴原洋氏だ。

Q.2020年に通算2000安打を記録した巨人の坂本勇人選手が、バッティングの調子を確認するために時折ロングティーを取り入れているということを聞きました。どういうことでしょうか。また、ロングティー(練習)にはどんな効果が期待できますか。(宮崎県・14歳)



A.タイミングの確認です。タイミングが合っていないと飛距離が出ず、打球の角度が悪く、変な変化もします

 われわれがロングティーを行う際に考えることは、タイミングの確認です。しっかりと踏み込むこと、バットの出し方、インパクトのポイントがちゃんと合わないと、ボールは飛んでくれません。ロングティーは良い角度で打球が飛び出していくこと、良いラインで打つことが大切で、何より飛距離がチェックポイントとなります。飛距離が出なかったり、思ったような打球が出なかったり、変な変化をしてしまうような場合、これらのどれか(もっと細かくチェックポイントはありますが)、もしくはすべてが狂っている可能性がありますので、確認を行いながら打っていきます。ここでそれらのタイミングを修正したのち、実際のピッチャーのボールを打ち、試合に入っていきます。

 タイミングが合っていないことは、試合をしていれば自分で気づくものです。そういう場合、ティー打撃でトスを上げてもらった、そのボールに対しても合わないことが多く、そうなれば踏み込みを修正していきます。ほかにも繰り返しロングティーをやることでボールの下を打ち過ぎているとか、思っている以上にたたく意識が強くなっているとか、いろいろ気づくことができるので、アマチュアの選手にもおススメの練習です。スペースと、ボールと、パートナーさえいればできる練習なので、プロだから、アマチュアだからというのはありません。今ならスマホで動画を撮って、確認するのもいいと思いますよ。ティーバッティングだとネットが近いところにあり、打球のライン、変化が見えないので、ロングティーのほうがいいと思います。

イラスト=横山英史


 また、143試合の長丁場を戦っていくと、どうしてもヒット(結果)を欲しがるあまり、スイングが小さくなることがあります。試合の中では、変化球にうまく対応して逆方向にシングルヒットは100点ですが、これを繰り返していくと、次第に引っ張ることができなくなってしまいます。その修正方法としてのロングティーという側面もあると思います。やはり、スイングが小さくなっては飛距離は出ませんので、体を大きく使い、正しいフォームを取り戻していきます。

 私はこれを体の解放などと呼んでいましたが、坂本選手の練習を見ていると、タイミングの確認、体の解放と、どちらのパターンもあるように思います。

●柴原洋(しばはら・ひろし)
1974年5月23日生まれ。福岡県出身。北九州高から九州共立大を経て97年ドラフト3位でダイエー(現ソフトバンク)入団。11年現役引退。現役生活15年の通算成績は1452試合出場、打率.282、54本塁打、463打点、85盗塁。

『週刊ベースボール』2021年5月31日号(5月19日発売)より

写真=BBM
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