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ヤクルトのリードオフマン・塩見泰隆は球界屈指の身体能力 「トリプルスリーも狙える」の声が

 

誰もが認める野球センス



 6月19日現在、巨人と同率の2位タイで首位・阪神を追いかけるヤクルト。2年連続最下位に低迷し、今年も戦前の下馬評は低かっただけに、31勝25敗7分けで貯金6とここまでの戦いぶりは大健闘と言える。

 その中で強力打線を牽引するリードオフマンが、プロ4年目の塩見泰隆だ。今季61試合に出場して打率.293、8本塁打、24打点、13盗塁。同学年の山崎晃大朗と併用の時期が続いていたが、5月22日のDeNA戦(神宮)以降は「一番・中堅」に固定されている。チャンスメーカーとしての役割だけではなく、パンチ力もあり、得点圏打率.333とポイントゲッターにもなれる。

 他球団のスコアラーはこう分析する。

「身体能力はもともと高い選手。スイングスピードが速いし、打球を遠くに飛ばせる技術を持っている。逆方向の右翼にホームランを打てるのは大きな魅力ですね。以前は振り回していた印象で粗さもあったけどコンパクトになって確実性が上がった。強引さがなくなり、ボール球になる変化球にも手を出さなくなりましたね。山田哲人という身近に良いお手本がいるので吸収できることが多いでしょう。盗塁の技術も高いし、トリプルスリーを十分に狙えると思います」

 2018年、社会人・JX-ENEOSからドラフト4位でヤクルトに入団。高い身体能力は他の選手にも一目置かれていた。ただ、なかなか一軍に定着できない。ファームでは18年に48試合出場で打率.329、9本塁打、26打点、22盗塁をマーク。19年も74試合出場で打率.310、16本塁打、52打点、23盗塁と格の違いを見せるが、一軍の一線級の投手は直球、変化球のキレがまったく違う。たび重なる故障もあり、18年は打率.040、0本塁打、19年は打率.182、1本塁打とプロの高い壁にぶち当たった。

 野球センスは首脳陣も認めている。高津臣吾監督が就任した昨年は野球人生の大きな分岐点になった。6月19日の開幕戦・中日戦(神宮)に「五番・中堅」で抜擢されると、2戦目の同戦で右翼に叩き込む本拠地神宮初アーチ。打率1割台に落ち込んだ時期もあったが、辛抱強く起用する指揮官の期待に応えた。故障で戦線離脱した時期があったが、43試合出場で打率.279、8本塁打、21打点、13盗塁。オフは青木宣親の自主トレーニングに同行し、「体の使い方やトレーニングの仕方も教わって、それがプラスになっていると思う」と尊敬する先輩に影響されて体に対する意識が高くなった。

素晴らしいコンタクト率


今季は3月30日のDeNA戦(横浜)で1号アーチを放った


 今季は開幕2カード目のDeNA戦(横浜)で初戦に1号右越え弾を放つなど、3連戦で10打数6安打7打点の固め打ちをするなど、春先から3割を超える高打率をキープ。5月は月間打率.383、3本塁打、8打点と絶好調だった。塁に出れば足で揺さぶりをかける。13盗塁で失敗はわずか1つと、足が速いだけでなく、相手の警戒をかいくぐる走塁技術が高い。長打力もあり、一番が似合う選手だ。

 ヤクルトは安打製造機の青木宣親、東京五輪の侍ジャパンメンバーに選出された山田哲人、村上宗隆、新外国人のオスナサンタナと強打者がズラリと並ぶ。一番の塩見が出塁すれば得点の可能性がグッと上がる。同学年で帝京大のチームメートだった阪神・青柳晃洋が先発ローテーションで5勝を挙げ、首位快走に大きく貢献しているのも大きな刺激になっているだろう。

 シーズンはまだ折り返し地点にも入ってない。相手のマークも厳しくなり、6月に入ると19打席連続無安打と快音が止まり、打率が3割を切った。逆転優勝に向け、塩見の真価が問われるのはこれからだ。

写真=BBM
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