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侍ジャパンのキーマン・山本由伸は先発と守護神のどちらで使うべき?

 

12球団No.1のパフォーマンス


東京五輪の日本代表に選出されたオリックス・山本


 東京五輪に出場する侍ジャパンに内定した24選手のうち、投手陣のキーマンになるのがオリックス・山本由伸だ。現在のパフォーマンスを見ると、「12球団No.1投手」と形容しても言い過ぎではないだろう。

 最速158キロの直球に加え、カットボール、スライダー、フォーク、カーブ、ツーシームと変化球も多彩ですべての球種の精度が高い。今季も異次元の快投を何度も見せてきた。4月1日のソフトバンク戦(京セラドーム)で2安打13奪三振の完封勝利を飾ると、同月28日の楽天戦(京セラドーム)では0対0の引き分けに終わったが、打たせて取る投球で3安打5奪三振、無失点と犬鷲打線を封じ込んだ。

 今月11日の広島戦(京セラドーム)では7回まで走者を1人も出さない完全投球に球場がどよめいた。8回に鈴木誠也坂倉将吾に連打を浴びて無死一、二塁のピンチを作ったが、ここからトップギアに入った。曾澤翼、小園海斗、代打・菊池涼介と3者連続三振で切り抜け、先発全員から自己最多を更新する15三振をマーク。大記録達成はならなかったが、圧巻の投球だった。試合後のお立ち台では「調子も凄く良かったので(完全試合を)3回ぐらいから意識していました」と振り返り、「いい投球が続いていたので、もし走者を出しても絶対点をやらないということで、しっかり切り替えて投げようと決めていたので良かったと思います」と納得の表情を浮かべていた。

 野球解説者のデーブ大久保氏は週刊ベースボールのコラムで、「身長178センチの体で190センチ以上あるダルビッシュ(有)や大谷(翔平)と同じ150キロ後半の真っすぐを投げるんですから、どういうこと? と思っています。NPBの中でNo.1の投手ですよ」と称賛した上で、「投げ方は、いわゆる“アーム式”です。この投げ方だと、打者は最初から球筋が見やすくなるので、打ちやすい投手の部類に入るのですが、山本の場合はそんなの関係ねえ! 
とパワーで押し切って空振りやファウルにしてしまうほどボールに力があるのです」と続けた。

 さらに「彼の投球の代名詞のひとつに『カットボール』がありますが、私は断然『真っすぐ』が彼の代表的な球だと思っています。あのめちゃくちゃパワーのある真っすぐがあるから、カットボールが生きているんです。大捕手の谷繁(元信)が『(川上)憲伸のカットボールが史上最強』と言っていましたが、それもやはり憲伸のパワーストレートがあるからこそ、あの球種が生きた。山本と憲伸はすごく似ていると思いますね」と分析している。

2018年にリリーフでブレーク


 三振奪取能力が高く、制球難で崩れることがない。侍ジャパンで注目されるのが起用法だ。山本がブレークしたのは2018年。セットアッパーに定着して54試合登板で4勝2敗1セーブ32ホールド、防御率2.89と活躍した。19年に先発転向すると8勝6敗、防御率1.95で最優秀防御率に輝く。昨年は8勝4敗、防御率2.20で最多奪三振(149奪三振)のタイトルを獲得した。先発でも救援でも能力を発揮できるので起用法も幅広い。19年に開催された「プレミア12」ではセットアッパーで侍ジャパンの同大会初優勝に貢献した。

 侍ジャパンの陣容を見ると、巨人菅野智之中日大野雄大が本調子とは言えない状況で山本はエース格として期待される。一方で、守護神で起用する選択肢も考えられる。抑え候補として、新人でデビュー戦から球団記録の22試合連続無失点を記録した広島・栗林良吏、パ・リーグタイ記録の34試合連続無失点をマーク中の西武平良海馬がともに初選出されたが、ストッパーとしての経験値が浅いのが気がかりだ。DeNA山崎康晃は抑えとして通算169セーブと実績十分だが、昨季は不調によりチームで守護神を剥奪され、今季はセットアッパーを務めている。決め手を欠く状況で、能力や適性を考えれば山本が守護神を務める可能性がある。

 金メダル獲得に向け、山本の力は必要不可欠だ。先発か、抑えか――稲葉監督の起用法が注目される。

写真=BBM
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