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広島・林晃汰の今後が楽しみ! 目を見張る打撃センスで「第2の村上宗隆」の呼び声も

 

高校時代からあふれ出た打撃センス



 下位に低迷しているが、若手が台頭している広島。左の長距離砲として頭角を現しているのがプロ3年目の林晃汰だ。5月18日に一軍昇格すると、23試合出場で86打数33安打、打率.384、3本塁打、16打点の好成績をマーク。得点圏打率.500と驚異的な数字を誇る。

 他球団のスコアラーはこう分析する。

「スイングが鋭い上に追い込まれてからは軽打でヒットゾーンに運ぶ技術がある。雰囲気がヤクルト村上宗隆に似ていますよね。少しでも甘く入ると一発を打たれる怖さがある。これから各球団のバッテリーから内角攻めにあうと思いますが、直球に振り負けないのでアジャストしてくる感じがします。三塁の守備も肩が強くて送球が安定している。多少打てなくてもあの守備なら使ってもらえるでしょう。将来は三、四番で長く活躍できる選手だと思います」

 強豪の智弁和歌山高で1年夏から「五番・三塁」のレギュラーをつかんだ左の長距離砲は秋から三3に回り、2年夏の甲子園では初戦の興南戦でバックスクリーン左にアーチを放った。3年春のセンバツでは甲子園準優勝に貢献するなど甲子園に3度出場し、高校通算49本塁打をマーク。同校野球部でコーチを務めていた古宮克人さんは自身のYouTubeチャンネルで、林の高校時代についてこう振り返っている。「入学した時点からこれはプロだなという逸材がいる。林選手はその類。バッティング特化ですよね。中学卒業して、高校1年の段階であれだけすさまじい打球を飛ばせる選手はそうはいない」。古宮さんは練習にきっちり取り組む林の才能をつぶさずに素材を伸ばすことを念頭に置き、指導の際に極力手を加えないように心掛けたという。

 林は中日根尾昂ロッテ藤原恭大、チームメートの小園海斗羽月隆太郎と同世代だ。ドラフト3位で広島に入団すると、プロ1年目の19年に、高卒新人ながらウエスタン・リーグの開幕1カ月で四番に抜擢されたことが期待の大きさを物語っている。102試合出場し、打率.225、同リーグの新人最多タイの7本塁打をマークすると、2年目は打率.266、9本塁打、40打点。本塁打、打点はいずれもリーグ2位と力を着実につけた。シーズン終盤に一軍昇格すると、10月9日のヤクルト戦(マツダ広島)で清水昇からプロ初安打の右翼線二塁打を放った。

同期の活躍も刺激に


6月19日のDeNA戦では本塁打を含む4安打4打点の活躍


 同期入団の小園、羽月の活躍も刺激になっているのだろう。少ないチャンスで結果を出したことで首脳陣の信頼を高めている。23試合出場でマルチ安打は約半分の11試合、猛打賞は4試合。6月19日のDeNA戦(東京ドーム)では自身初の4安打4打点の大暴れでチームを勝利に導いた。初回二死一、二塁でピープルズの初球のカットボールを振り抜き、先制の左翼線2点二塁打を放つと、同点に追いつかれた直後の3回無死一、三塁では左腕・桜井周斗から再び勝ち越しとなる右前適時打。5回にも無死二塁の好機で京山将弥から左前打と、バットが「打ち出の小槌」と化した。

 球場がどよめいた一撃は7回だ。三上朋也の外角高めの変化球を強振すると、逆方向の左中間席に3号ソロを叩きこんだ。三塁の守備でも、6回にソトの三遊間へ抜けそうな強烈なライナーを横っ飛びで好捕するなど好守を連発。出色の活躍でまた株を上げた。

 広島は前田智徳金本知憲丸佳浩と強打者たちが猛練習を乗り越え、球界を代表する選手に飛躍した土壌がある。底知れない可能性を秘めた林は、癒し系の雰囲気と穏やかな口調でファンの心をつかんでいる。初めて四番に座った22日のヤクルト戦(マツダ広島)でも3安打をマークした。翌日の同カードも四番で出場も5打数無安打2三振に終わったが、今後の活躍が楽しみだ。

写真=BBM
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