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日本でプレーして進化 打率3割超える巨人・ウィーラーに「首位打者狙える」の声が

 

チームを救うムードメーカー



 巨人にこの男がいなかったら、現在の位置にはいないだろう。

 ゼラス・ウィーラーだ。今季53試合出場で打率.330、7本塁打、31打点。開幕直後に新型コロナウイルスに感染が判明して戦線離脱したが、3週間後に復帰すると、チームを救う殊勲打を打ち続けている。

 丸佳浩が打撃不振、坂本勇人が右手親指骨折、DeNAから昨オフにFA移籍した梶谷隆幸が左太もも裏の違和感、吉川尚輝が左手中指末節骨骨折おとび左手中指爪根脱臼で次々に登録抹消。コロナ禍により家族の来日が叶わず、新外国人のジャスティン・スモークも急遽退団した。主力がそろわない中、ウィーラーは孤軍奮闘で打ち続ける。守備位置も本来は三塁だが、チーム事情で左翼、一塁を守り、昨季は二塁もこなした。明るい性格のムードメーカーで、チームメートが打つとベンチで自分のことのように喜び盛り上げる。首脳陣にとってこんなありがたい選手はいないだろう。

 ウィーラーが来日した2015年に楽天の監督を務めていた野球評論家のデーブ大久保氏はウィーラーについて、週刊ベースボールのコラムでこのように語っている。

「速い真っすぐにはめっぽう強かった。開幕戦の日本ハム戦(札幌ドーム)では中継ぎのクロッタからバックスクリーンへホームランを打ちましたからね。また3ボール2ストライクからめっぽう強いんですよ。私は『ミスター・フルハウス』と呼んでいたくらいです。三振することを怖がらないので初球の甘い球が来たときのような強いスイングができる。それと選球眼もあるので、余計なボールも振らない。これはチームにとってはめちゃめちゃ助かりましたね。

「そして何より、やはり性格がいいからチームが盛り上がるんです。実は開幕のホームランを打った次の日、球団から『ウィーラーをスタメンから外すように』と。これにはメジャー・リーガーのプライドもありますし、前日にホームランを打っているので、私は大反対しました。そこは球団に押し切られたのですが、本人は不貞腐れることなく、一生懸命仲間を応援している。これには感服しましたし、長く日本でプレーするだろうな、と思いました」

「さらにはこの年、子どもが生まれたのですが、普通の外国人は帰国しますよね。でも、彼はチームにとどまりました。私たちには、携帯で子どもの写真をうれしそうに見せてくれるのですが、多分会いたいだろうな、寂しいだろうなと思ったものです。それと同時に、私は今まで多くの外国人を見てきましたが、日本の文化に馴染もうとする助っ人では一番でしたね。日本の独特の上下関係も学んでいました。そして以前にも話しましたが、一人でも平気で焼き鳥屋に入るような性格です」

スイングがコンパクトに


 楽天での在籍5年間で、17年に自己最多の31本塁打をマーク。チャンスに強いクラッチヒッターとして活躍したが、昨年は外国人枠の関係で一軍から漏れた。そこで他球団のほうが出場機会を得られるという楽天の配慮もあり、開幕直後にトレードで巨人に移籍する。

 移籍初年度の昨年は8月終盤まで打率3割近いアベレージだったが、9月に25打席連続無安打と快音が止まり、打率.247、12本塁打、36打点。スランプに入ると長かったが、今年は違う。規定打席に到達したウィーラーの打率.330は1位のオースティン(DeNA)と2厘差の2位だ。

 他球団のスコアラーはこう分析する。

「強引な打撃が少なくなりましたね。昨季まではスイングが強いけど、粗さがあった。1度打てなくなると修正に時間がかかっていましたが、今年はスイングがコンパクトになり、追い込まれてからも軽打でヒットゾーンに持っていく。厄介な打者だし、今の打撃スタイルだと首位打者も十分に狙えると思います」

 もちろん、ウィーラーが目指すのは首位打者でなく、リーグ優勝だ。チームに歓喜の瞬間を届けるため、「ハクション大魔王」は攻守で躍動し続ける。

写真=BBM

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