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川口和久WEBコラム

原ワクチンの副反応は?/川口和久WEBコラム

 

原監督の仕掛けが早い


一軍復帰後、丸が好調を維持


 先日、掛かりつけの病院から電話があった。

「ワクチン打てますけど、来ませんか」

 副反応を怖がってのキャンセルが結構、多いらしい。無駄にしないために声を掛けているという。すぐカミさんと一緒に行って、打ってもらった。

 チクッとした注射のあと、15分待機と言われた。アレルギー反応がないかの確認らしい。そのときは何もなかったが、次の日、1日だけだが、右肩が上がらなくなった。

 難しいものだよね。病気から体を守るために打つのに、体にマイナスの反応が出る可能性があるなんて。

 野球における策にも似たところがある。

 誰にでも心地のいい策は状況を大きく変えないけど、毒をはらむ厳しくも大胆な策は、はまればチームを大きく変えるし、逆に選手のモチベーションが落ちたり、チームバランスが崩壊することもある。

 このさじ加減がうまいのが、巨人原辰徳監督だ。 

 首位を独走していた阪神を巨人が猛追し、2.5ゲーム差まで詰めた。

 これまで新人・佐藤輝明効果と、外国人選手をきっちり開幕に間に合わせたアドバンテージもあった阪神に対し、巨人はこれでもかとアクシンデントがあった。

 新外国人の来日が遅れ、やっと来たと思ったらテームズが1試合でいきなり負傷離脱、適応してきたかなと思ったスモークも「家族のために」と緊急帰国してしまった。

 エースの菅野智之はパッとしないし、一時はウィーラーらがコロナ、梶谷隆幸が故障離脱と、ほんと散々な状態になっていた。

 ここで原監督が動いた。メジャーで失業していた山口俊を獲得し、不振が続いていた丸佳浩を二軍に落とす。采配も大胆な継投を仕掛け、勝利への執念を見せる。

 6月20日の阪神戦(甲子園)7回に見せた同一打者での高梨雄平から鍵谷陽平へのスイッチには驚いた。終盤の優勝争いやポストシーズンなら分かるが、まだ6月だしね。

 例えは悪いかもしれないけど、俺はワクチンを打ったな、と思った。マスクや手洗いで予防じゃなく、仮に副反応があっても戦う態勢をつくると決めたというのかな。

 今の原監督の執念の采配は相手チーム、そして何より自軍に対するプレッシャーになっている。復帰からの丸の好調さを見ても、いい副反応になっているしね。

 原監督の崖っぷち采配は、阪神にこれ以上差をつけられたらやばいというのと、間近に迫ったオリンピックブレークを意識したのだろう。

 前半戦、原監督は追いつくだけじゃ満足しないはずだよ。
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