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得点パターンに“幅”。オリックス25年ぶりの優勝へ見えた首位固めの形

 

勢いとは言わせない。前身の阪急時代となる球団37年ぶりの11連勝でパの首位に浮上したオリックス。連勝が止まっても攻撃の形は揺るがない。25年ぶりの悲願であり、オリックス・バファローズとして初のリーグ優勝へ。たくましさを増した猛牛軍団が、蒼き波に乗っていく。

強力打線が機能


6月27日の西武戦(京セラドーム)でバックスクリーンへ3ランを放った吉田正。三塁を回ると珍しく感情を表に


 確かなチーム力を示している。交流戦優勝、球団37年ぶりの11連勝と白星を重ね続ける6月は15勝4敗2分。楽天と同率とはいえ首位に立ち、今季の主役の座に就きつつある進撃を呼んだのは打線だ。

 昨季の首位打者であり、今季もリーグ打率トップを快走する吉田正尚が不動の軸。前後を打つ打者が課題だった中で、一番・福田周平が打率、出塁率ともハイアベレージをマークし、杉本裕太郎も台頭して攻撃の形が定まった。吉田正、杉本の2人でシーズン計95打点。軸を起点とした攻撃を展開すれば、得点力が上がるのは必然だが、さらに打線に厚みを与えているのがT-岡田だ。日替わりオーダーを組むだけに、打順は流動的ながらも、仕事は変わらない。四、五番を担っても、下位に座っても、一発を秘める長打で相手に重圧を与え、得点圏打率.373と今季は勝負強さも見せる。26、27日の西武戦(京セラドーム)では2試合連続先制打と、吉田正、杉本で好機をつくり、T-岡田で返すパターンも確立した。

 正攻法だけではない。中嶋聡監督が「こういう点の取り方もできる」と称えたのが、連勝が止まった24日の日本ハム戦(京セラドーム)の4回。4点を追う展開の中、無死二、三塁と好機をつくると、西野真弘の一ゴロ、伏見寅威の犠飛で2点を奪取。決定打を欠いた同戦は、この2点のみに終わるも、指揮官は手応えを感じていた。だから指示は多岐にわたる。

「なんでもあるぞ」

 打席に向かう伏見に、そう声をかけたのは27日の西武戦の4回のこと。吉田正、杉本の連打からT-岡田の適時打で均衡を破り、なお一死三塁の場面で初球に出したサインはスクイズだった。「心の準備は出来ていた」と言う伏見寅威が、きっちり成功させて追加点をもぎ取れば打線が活気づく。序盤の均衡状態から一転し、5回に吉田正が3ランを放てば、7回には3本の適時打が飛び出して5点を加点して10対0と快勝。小技で流れをつかんで大技で一気にたたみかけてみせた。

団結しているナイン


 束になる攻撃は“チームの雰囲気”とも無関係ではない。水本勝己ヘッドコーチが「全員でひとつになっていこう」と発案し、試合開始直前のスタメン発表時のベンチではグータッチで士気を高める。「ホントに自然と。『誰が』とか『何を』というわけはなく、みんながいろんなことを率先してやる。打撃練習のあとのボールも拾いも、ベテランも若手も、スタメンかどうかも関係ないんです」と杉本が明かすように、昨季まで2年連続で最下位に甘んじたナインは、団結して飢えた勝利に向かって突き進んでいる。

 強力先発ローテに、救援も澤田圭佑村西良太張奕らが加わり厚みが増し、11連勝のうち先行逃げ切りが9試合。打線の奮起で戦う形が定まり、7カード連続で負け越しなし。3位にソフトバンクロッテ、西武が並び5チームが3.5ゲーム差にひしめく混戦のパ・リーグだが、“首位固め”は、その形を維持するだけ。今季から選手会長を務める吉田正の決意も「混戦を抜けられるように、また連勝して、勝ちを重ねていきたい」と明快だ。

 チーム打率.257、70本塁打は、いずれもリーグトップ。1996年のブルーウェーブ時代以来、25年ぶりのリーグ優勝へ。強力打線がオリックス・バファローズとしての初栄冠を手繰り寄せる。

写真=BBM
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