二番に置いて一気に大量得点
東京オリンピックで金メダル獲得を狙う侍ジャパンで、打線のキーマンとして起用法が注目されるのがソフトバンク・柳田悠岐だ。
規格外のパワーと卓越したミート能力は国際大会の舞台でも証明されている。2018年にMLB選抜と対戦した日米野球では「五番・中堅」で第1戦目の9回にバックスクリーンへサヨナラ逆転2ランを叩き込むと、「四番・指名打者」で先発出場した第2戦目も2試合連続アーチを放つなど4打数4安打4打点の大暴れ。MLB選抜を率いたマーリンズのドン・マッティングリー監督が「今、マーリンズには左打者が足りないから、すぐにでも連れて帰りたい」と絶賛していた。
7月4日現在、ソフトバンクでの今季の打順を見ると、二番で19試合出場、三番で29試合出場、四番で32試合出場している。貧打が深刻なチーム事情も打順に影響している。5月9日の
西武戦(PayPayドーム)から1カ月半の間は四番を任されていたが、6月22日の
ロッテ戦(ZOZOマリン)から三番、30日の西武戦(北九州)から二番に入れ替わっている。
侍ジャパンの陣容を見ると、
浅村栄斗、
吉田正尚、
鈴木誠也、
村上宗隆が主軸となり、
山田哲人、
坂本勇人、
菊池涼介、
近藤健介が一、二番か下位で脇を固めるスタメンになることが予想される。柳田はどこに据えるべきか。
セ・リーグの球団首脳は「二番」を強く推す。
「出塁率が高くて長打も打てる。初回に一番打者が出塁して、柳田が続けば一気に大量得点の可能性も生まれる。下位打線で作ったチャンスの場面で回ってくるし、二番は大事な役回りです。三番は浅村、吉田とほかにも打てる人間がいますが、二番となると『つなぎ』の
菊池涼介ぐらいしかいない。坂本も面白いと思いますが、下位に置いたほうが相手バッテリーは嫌かなと。一番・山田、二番・柳田が個人的には面白いと思います」
フルスイングが代名詞になっているが、柳田の強みは選球眼の良さに裏付けられた出塁率の高さだ。15年からパリーグタイ記録の4年連続最高出塁率のタイトルを獲得。また、同年から3年連続リーグ最多の四球を記録し、16年には
王貞治(現ソフトバンク会長)に並ぶ18試合連続四球のNPB記録を樹立している。国際試合では1点が大きな重みを持つ。出塁率が高い柳田を二番に置くのは理にかなっていると言える。
チャンスで与える威圧感
一方で、パ・リーグ球団のスコアラーは「四番・柳田」を構想に描く。
「鈴木誠也が四番の最有力だと思いますが、チャンスでの強さや相手に与える威圧感を考えると柳田かなと。四番らしい打者になると村上になりますが、侍ジャパン最年少の21歳という年齢を考えるとちょっと荷が重い。六、七番あたりで伸び伸び打たせたほうが力を発揮できると思う。一番・坂本、二番・山田、三番・吉田、四番・柳田、五番・鈴木の並びが一番しっくりくる感じがします」
豪華なタレントが集まり、打線の組み合わせも十人十色の考え方があるだろう。稲葉監督が柳田を何番で起用するか、その決断が注目される。
写真=BBM